選手契約して10年目のシーズン、今や替えの効かない存在となった。背中で、姿勢で、チームを引っ張る。 リポート=高田博史 
今年も高知の中心には、サンフォ[中央]がいる
「キャプテンしてくれ!」
創設20年目を迎える四国リーグの歴史において、3度主将を務めたのは、黄金時代の香川を率いた近藤洋輔主将だけだった(2008〜10年)。今シーズン、高知のサンフォ・ラシィナ外野手(ブルキナファソ)が、ついに近藤と並ぶ。21、22年に続いて、3度目の主将就任を果たしている。
サンフォが主将を務めることは、高知・
定岡智秋監督(元南海・ダイエー)たっての希望によるものだった。
「やっぱり、ちゃんとまとめるもんね。僕としてはものすごく助かる。だから、すぐ『キャプテンしてくれ!』って」
だが、その要請は、すぐさま快諾されてはいない。過去の2回、サンフォもそれなりに大変な思いをしている。
「う〜ん、(主将を務める)しんどさは分かっているので……」
定岡監督はサンフォのことを「日本人より日本人らしい」と言う。例えばピッチングマシンを設置しようとすれば、真っ先に駆け付ける。そんな勤勉さや周りを優先して動くことを、サンフォ自身も意識して行っている。
初来日した11年前、やせっぽちだった15歳のころから知っている。サンフォも定岡監督の考えていることなら、あうんの呼吸で理解できる。
主将だからと言って、全部自分がやらなくてもいい。任せられる部分は任せればいいんだ。人を使えばいい。定岡監督は、新主将にそうアドバイスしている。サンフォが苦笑した。
「でも、使えないんだよなあ(笑)。人に言うのは簡単ですけど、見て真似してほしいというか。ついてきてほしいんですよね」
いざ10年目のシーズンへ
練習生から契約選手となって、今年で10シーズン目となる。元高知・梶田宙外野手(05〜14年)、元愛媛・
正田樹投手(14〜23年)に続く、3人目の10年選手だ。
「早いですね。ここまで野球ができるとは思ってなかったですね」
入団当初、日本人選手に比べると圧倒的に試合経験が足りなかった。代打、代走、守備固めで経験を積む日々が5年間続く。レギュラーとして試合に出始めた6年目、打率.257(10位)30打点(1位)を残し、打点王とベストナインを初受賞した。
あれから4年、いまや最年長であり、球団を代表する選手となった。「成長したね!」と声を掛けられることが一番うれしい。昔から見てくれているんだなあ、と思えるからだ。
「試合を見に来てくれたファンも、やっぱ幸せな気持ちで帰らないと。幸せな気持ちで帰ったら、また見に行きたいって気持ちになると思うので」
だから、ファンに勝利を届けたい。
昨シーズン、いずれも球団トップとなる6本塁打(3位)、15盗塁(3位)を残した。機動力を売りにする今季の高知を、足と長打力で引っ張る。
「個人としてはやっぱり、去年以上の成績を残す。タイトルとしては、盗塁王を狙って」
1つでいいの? と尋ねると「じゃあ、打点王と盗塁王と、ホームラン王で」と笑った。
PROFILE Sanfo Lassina●1997年12月31日生まれ。178cm80kg。O型。西アフリカ、ブルキナファソ出身。2013年6月、15歳で初来日。高知で練習生として努力を重ね、15年8月に選手契約。20年に打点王、2度のベストナイン受賞(20、21年)。昨季成績は打率.247、23打点、6本塁打(3位)、15盗塁(3位)。10年目となる今シーズン、自身3度目となる主将に就任した。