道しるべは目の前にあった背中だった。選手としての成長を実感しつつ、ナインを率いて勝負の1年に臨む。 リポート=高田博史 
NPBの舞台で待つ2人に追いつきたい徳島・寺岡[写真=佐藤友美]
「姿勢で引っ張っていく」
3月22日現在、練習試合8試合を消化した徳島は、7勝1敗と好調だ。
寺岡丈翔主将(福岡大)に今季のチームカラーについて尋ねると、「仲がいいなっていうのはすごく感じます」と話す。
練習の雰囲気が明るい。他球団と同様、半数以上が新入団選手だが、ミーティング中もどんどん発言が飛び交う。
「自分がもうしゃべることがないぐらい、みんながバンバン発言してくれるんで。そこは非常に助かってます(笑)」
昨シーズン、前・後期優勝、
ソフトバンク杯優勝、年間総合優勝の“4冠”を達成したが、独立リーグ日本一だけ達成できなかった。主将に就任し、最初に「日本一を獲りたい」と宣言している。強い球団になるには、全員が同じ方向を向いて頑張ることが必要だ。
「試合に出ているメンバーだけがめっちゃ頑張っていても、強いチームにはなれないと思うんで」
2月1日の合同自主トレ初日、囲み会見で「姿勢で引っ張っていくようなキャプテンになりたい」と話していた。
それは主将に任命される前から考えていたことだった。印象に残っているのは昨シーズンの主将、
増田将馬(くふうハヤテ)のリーダーとしての振る舞いだ。最年長なのに自ら率先して片付けをする。試合後のダッグアウトの掃除も進んでやる。そんな増田の姿を、見習いたいと思っていた。
「増田さんがそういうキャプテンだったし、言う前に自分がやらないとなっていうのが、自分の考え方なので」
1年後、対西武戦
西武B班との交流戦(2月17日、高知市)に、徳島は9対8で勝利した。寺岡は一番・中堅として出場し、第1打席に
黒田将矢のストレートを中前へはじき返している。3点を奪った初回の攻撃で、最初のホームを踏んだ。
「自分がちゃんと成長してるんだなっていうのは感じました、1年間で」
1年前、入団してすぐに対戦した西武B班との交流戦(2023年2月18日、高知市)で、黒田のストレートに圧倒されている。だが今回、昨年ほどの力の差は感じていない。
もちろん、この試合に臨む気持ちも1年前とは大きく変化している。
「あそこにいる選手に勝たないと、自分はドラフトにかからないって思ってたんで。あっちにいる選手よりも目立つ。目立てるようにって考えましたね」
昨季、愛媛に在籍した
河野聡太(
オリックス育成)は、小学生のころチームメートだった。徳島で一緒にプレーした1歳上の
井上絢登(
DeNA)も小、中、大学で同じチームにいた。いまも3人は仲が良く、連絡を取り合う。
2人がドラフトで指名を受け、寺岡の胸の中でうれしさと悔しさとが交錯していた。それぞれに「おめでとう」と伝えたとき、2人から返ってきたのは、まったく同じ言葉だった。
「待っとるけん」
チームとして独立リーグ日本一を。個人として支配下でのNPB入りを目指す。そして、聡太と絢登さんに必ず追いつく。それが今シーズンの目標である。
PROFILE てらおか・たけと●2000年9月20日生まれ。177cm85kg。右投右打。O型。東福岡高から福岡大を経て、23年徳島入団。強肩と長打力が持ち味の中堅手。昨季は全68試合に出場、打率.232、27打点(7位タイ)、4本塁打(6位タイ)、10盗塁(8位タイ)。この冬から内野手にも挑戦しており、外野手とともに三塁手としてもアピールしていく。今季、徳島の主将に就任した。