主将として前・後期優勝の立役者に。目標のNPB入りはならなかったが徳島での経験を財産に、次の道へ。 リポート=高田博史 
2024シーズンMVPの表彰を受けた徳島・寺岡
2024シーズン年間MVP
昨年12月4日、高松市で開催された『四国アイランドリーグplus20周年記念パーティー』で、2024シーズンの最優秀選手が表彰された。年間MVPを受賞したのは徳島の主将、
寺岡丈翔(福岡大)だった。
2年連続でフル出場し、前・後期優勝の原動力となった。打点王(65打点)、本塁打王(9本、1位タイ)、ベストナイン(外野手)の3冠に輝いている。
「絶対MVP獲りたい! っていう気持ちでやってきたんで。そこは一つ、目標を達成できたし、自分の中でいい思い出になった、じゃないですけど、本当に心からうれしかったですね」
四国リーグの歴史に名前を刻むことができた。だが、最大の目標は、NPBからドラフト指名されることだった。
攻走守そろった万能型の外野手であり、内野手もこなせる。前年の成績を大きく超える数字を残し、リーグトップのレベルまで登り詰めた。
寺岡の獲得にはNPB5球団が関心を示していた。今回、徳島からは育成指名を含め、計4人が指名されている。
しかし、その中に寺岡の名前はなかった。四国リーグ全体で指名された8人の中に外野手はいない。野手が指名されることがどれほど難しいかを、思い知らされる結果となっている。
すべてが終わったとき、気持ちは決まっていた。来シーズンは、ない。
「もう1年は無理でしたね。もう、なんか野球したくないって思っちゃって……。もうやり切ったし、いいやっていう感じでした」
福岡で教職の道へ──
実家のある福岡、筑紫野市から県立糸島特別支援学校までは約40キロ離れており、車で50分かかる。朝礼が始まるのは、毎朝8時30分だ。
次の人生に、教職の道を選んだ。両親は「ゆっくり考えり」と言ってくれたが、時間をただ浪費したくなかった。福岡に帰ると同時に臨時教員に登録し、12月から同校で講師を務めている。
ようやく野球を終えたことに、気持ちがスッキリし始めたところだ。まだ、将来は高校野球の指導者に……などと考えるところまで定まってはいない。
「ちょっとフワフワしてる感じですか。もうプレッシャーとかを感じることはないし、自分の中で緊張するってこともないし。なんか、そういう面では楽なのかな? とは思いますけど」
徳島での2年間、文字どおりに休むことなく、全力で走り続けてきた。苦しかった日々は、これからの人生において大きな財産になることだろう。
「体はしんどかったですけど、でも、やりたい野球をお腹いっぱいできたんで。そこは満足というか、後悔はないですね。行って良かったなと思います」
四国リーグで得たものは、ともに目標に向かって走り続けた、たくさんの仲間ができたことだ。
「そこはホントに、これからも大切にしたいですね。ここでの出会いは」
NPBに進んだ仲間たちの新人合同自主トレも始まった。あいつらが大舞台で戦っている姿を、ファンとして応援したい。必ずやってくれる─。そう信じている。
PROFILE てらおか・たけと●2000年9月20日生まれ。177cm85kg。右投右打。O型。東福岡高から福岡大を経て、23年徳島入団。2年目の24年は主将を務め、徳島の前・後期優勝に大きく貢献した。前期MVP、打点王、本塁打王、ベストナイン(外野手)受賞。年間MVPにも輝いた。通算成績136試合、打率.284、92打点、13本塁打、35盗塁。OPS.810。24年シーズン限りで任意引退となり、今後は教職の道へと進む。