一死一、二塁です。打者は三塁手の頭上に高いフライを打ち上げたので、審判は「インフィールドフライ」を宣告しました。これを聞いた三塁手は急にグラブを引っ込めて、打球を追うのをやめました。グラウンドに落ちた打球は、そのままファウル地域に転がり出てしまいました。審判はあらためて「ファウル」を宣告しましたが、守備側はインフィールドフライを宣告した以上、打者はアウトであると主張して聞きません。 守備側の主張は間違っています。「インフィールドフライ」と宣告されても、ファウル地域に転がればファウルです。インフィールドフライについては規則2.41に詳しく説明されていますが、その最後に
「たとえ、審判員の宣告があっても、打球がファウルボールとなれば、インフィールドフライとはならない」と明記されています。
さらに、その次にある[付記]には
「インフィールドフライと宣告された打球が、最初に(何物にも触れないで)内野に落ちても、ファウルボールとなれば、インフィールドフライとはならない。また、この打球が、最初に(何物にも触れないで)ベースラインの外に落ちても、結局、フェアボールとなれば、インフィールドフライとなる」 とあります。
古い話ですが、65年8月4日の大洋-
巨人戦(川崎球場)の3回表の巨人の攻撃のときに以下のようなことが起こりました。
一死一、二塁で森昌彦がマウンドの左に高いフライを打ったので、球審は「インフィールドフライ」を宣告しました。ところが、これを聞いたクレス三塁手が手を引いたので。グラウンドに落ちたボールは、ファウル地域に転がり出ました。
クレス三塁手には規則10.12(a)の冒頭にある「打者の打撃の時間を延ばしたり」の部分が適用され、失策が記録されました。インフィールドフライが宣告されたら、内野手は素直に捕球しておけば間違いありません。