一死走者一塁で打者は一、二塁間にゴロを打ちました。一塁走者は足元を襲ったゴロに当たらないように懸命に避けようとしましたが、ボールは当たってしまいました。避けようとしたにも関わらず当たった場合でも、走者はアウトでしょうか。 走者に打球を避けようとする動作、意志があるなしに関わらず、ボールに当たってしまえば走者はアウトです。
走者アウトを述べている規則5.09(b)の(7)には
「走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェアで触れた場合」とあります。ただし書きはなく、走者が避けようとしていても、当たれば走者はアウトです。
5.09(b)の(7)はさらに
「この際はボールデッドとなり、打者が走者となったために次塁への進塁が許された走者のほかは、得点することも、進塁することも認められない。インフィールドフライと宣告された打球が、塁を離れている走者に触れたときは、打者、走者ともにアウトになる」と続きます。完全に内野安打性の打球に走者が触れてもアウトになるのかと疑問が生じますが、アウトになります。これに関し有名な話があります。
1955年のワールド・シリーズはドジャースとヤンキースで争われましたが、3勝3敗で最後の第7戦を迎えました。双方無得点で迎えた3回裏にヤンキースは、二死一、二塁でマクドゥガルドが三塁線に緩いゴロを打ちました。誰の目にも内野安打になると見えた次の瞬間、三塁ベースに滑り込んだリズトーがこの打球に触れてアウトになり、チェンジとなりました。
ドジャースに0対2で負けたヤンキースにとって、先制のチャンスを逸したこのリズトーの走塁はいまでも語り草になっています。