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伊原春樹コラム

判定一つでゲームの流れ、選手の人生が変わってしまう。審判にはさらなるレベルアップを望む

 

 今年は審判に対するベンチの不信感が目立つように感じる。微妙な判定が多いのだ。例えば6月19日の中日日本ハム[ナゴヤドーム]では3度、首をかしげたくなる判定が出た。まず3回二死、中島卓也の三ゴロが一塁でセーフと判定。4回一死一塁ではナニータのバットに当たっていないように見えるボールコースをファウルとされ、さらに8回、先頭の亀澤恭平が二ゴロで一塁へヘッドスライディング。セーフのタイミングに見えたが、アウトと判定されてしまった。

 いずれも谷繁元信監督が審判に抗議や説明を求めたが、これらすべてが“誤審”のように思えた。今の時代、テレビ中継でもリプレーを目にすることができる。そういった意味では審判受難の時代とも言えるが、それにしてもおそまつなジャッジとしか言いようがない。

 中日球団はNPBへ意見書を提出。しかし後日、返ってきた回答は「あきらかに間違いでした」ということはなく、「しっかり教育していく」という内容。仕方がない面もあるが、まるでお役所仕事のような答えになっていた。

8回、審判の判定に抗議する谷繁監督/右。写真=川口洋邦


 同日、ヤクルト西武[神宮]でも、微妙な判定が飛び出した。3回無死二塁で大引啓次が三ゴロを打ったが、一塁でアウトの判定。これは誰が見てもセーフだった。さらに6回無死一、二塁から中村悠平が犠打を試みたが、1-6-3でゲッツー。しかし、これも一塁はどうだったか……。

 私が西武で三塁コーチを務めていたとき、よく審判と話をした。特に二塁への盗塁でクロスプレーになったとき、一瞬の判断ができない審判が多いと感じていたからだ。間一髪で滑り込む。その場合、タイミングはアウトだがスライディングで足がグラブのタッチよりも先にベースに触れていることが多々ある。しかし、審判にはそれが分からない。判定を下す立ち位置が悪いのもあるし、そもそも「足のほうが速い」という意識を持つべきだ、というようなことを私はよくアドバイスとして送っていた。

 以前は審判もプロ野球OBが多く、ユニフォーム組ともよく意思疎通を図れていたと思う。「昨日のあのプレーはどうだった」ということも、お互いに口にしていた。現在の審判員諸君も、控え室にばかりこもっているのではなく、少し球場へ早めに来て、ユニフォーム組と意見交換などをしたほうがいいのではないかと思う。審判員だけで研さんを積むのも当然、重要なことだが、さまざまな意見を取り入れレベルアップを図ることも大切なことだろう。

 審判の判定一つでゲームの流れ、選手の人生も変わってしまうことがある。審判はそれほど大きな役割を背負っている。ストレスがたまることも多いだろうが、好きで入った“ジャッジの世界”のはずだ。一つひとつ、正確に、全力で判定を下すことを望んでいる。

PROFILE
いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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