
9月13日のソフトバンク戦[PayPayドーム]、四球が絡んで失点を許した高橋[写真=湯浅芳昭]
やはり、投手にとっての“エラー”と言える四球は失点に直結する確率が高くなる。大事な試合になればなるほどそうだ。9月12日からPayPayドームで行われたソフトバンク対
西武の首位攻防戦を見て、それを実感した。
まずは初戦だ。西武の先発・
エンスは1対0で迎えた3回裏、先頭の
甲斐拓也に対してカウント2-1から3球ファウルで粘られたあと、ツーシーム、カットボールが高めに外れ、四球で出塁を許してしまう。この先頭打者への四球はやってはいけないことだ。エンスは続く
周東佑京に対しても制球が定まらず、四球。2回は3者連続三振に仕留めていたが、急に投球の安定感を失ってしまっていた。
三森大貴が犠打を決め二、三塁となると、
今宮健太に逆転2点適時打を浴び、二死後には
デスパイネに2ランを被弾。エンスは「2回に先制してもらい、良い流れをつくらなければいけないところで3回に2者連続フォアボールを与え相手チームを勢いづかせてしまった。3回は最初失点で抑えなければいけない場面だった」と嘆いたが、あとの祭り。エンスの乱調が響き、西武は5対7で大事な初戦を落とした。
さらに翌日の同カードで先発した
高橋光成も四球絡みの失点が致命傷となった。まずは0対0で迎えた4回裏だ。三森を二ゴロ、
牧原大成を遊ゴロと簡単に二死を取ったが、続く
柳田悠岐に1-2と追い込みながら、決め球が微妙にコースから外れて四球。デスパイネに対しても2-2からスライダー、カットボールが外角低めのストライクゾーンからわずかに外れ、四球を与えてしまう。得点力が落ちている味方打線の状態も頭にあり、高橋は力んでしまっているようにも見えた。二死一、二塁と走者がたまったところで
中村晃に中前に運ばれ1点を先制されたが、二死からの四球も失点に直結しやすいとあらためて強く感じた。
続く4回も高橋は先頭の
柳町達に四球。甲斐がバントで送り、一死二塁から周東に左中間へ適時二塁打を浴び、2失点目を喫した。西武打線にビハインドを跳ね返す力はなく、リリーフ陣も失点を重ね、0対9で敗戦。西武は3戦目も1対6で敗れ、首位攻防戦で3タテを食らい、優勝争いから大きく後退してしまった。
優勝が決まりシーズンが終わると、クライマックスシリーズ、そして日本シリーズが始まる。短期決戦は一つのミスが命取りとなるが、まさに先頭打者、二死からの四球はそれにあたるだろう。あとは初球の入り方。9月6日の
DeNA戦(東京ドーム)では延長11回、プロ初の回またぎ登板となった
巨人・
大勢が一死から
佐野恵太にど真ん中の直球を左中間席へ運ばれて勝ち越されたが、勝敗を決するような重要な局面になればなるほど、初球の入り方は慎重にならなければいけない。
1敗が重くのしかかる戦いでは、投手はより繊細な投球を心掛ける必要がある。
PROFILE 伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。
広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年
阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年
オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。