
開幕から安定感のある打撃を披露している阪神のドラフト1位・森下[写真=佐藤真一]
岡田彰布監督が率いる阪神が開幕から安定した戦いを続けている。その源はやはり投手陣だろう。先発は昨年最多勝、最優秀防御率、勝率第一位に輝いた
青柳晃洋を中心に
西勇輝、
西純矢、
才木浩人ら力のある投手がそろい、リリーフ陣も
湯浅京己、
浜地真澄、
岩崎優、
石井大智らコマは豊富だ。
4月8日、首位・
ヤクルトとの一戦(甲子園)ではオフに現役ドラフトで
ソフトバンクから加入した
大竹耕太郎が先発。ストレートの球速は140キロ台前半だがチェンジアップ、スライダー、カットボール、ツーシームなどを巧みに配する投球が真価を発揮した。持ち味の打たせて取る投球でヤクルト打線を抑え込む。3回から5回までは三者凡退。6回84球を投げ、被安打3、無失点で中継ぎへバ
トンを渡した。7回は岩崎、8回は石井がゼロに抑え、最後は湯浅が四球で走者を許しながら点を与えず。初回に
大山悠輔の中犠飛で挙げた1点を完封リレーで守り切り、1対0で勝利を飾った。
野手ではプロ2年間でほぼ遊撃を守っていた
中野拓夢を二塁へコンバート。昨年は内外野で複数のポジションを守っていた大山を一塁、
佐藤輝明を三塁に固定した。1つのポジションに専念することで打撃に集中してもらいたい考えもあっただろう。4月10日現在(以下同)、大山は打率.345、新外国人の
ノイジーも.344をマーク。佐藤輝は.160だが、そのうち数字を上げてくるだろう。三番・ノイジー、四番・大山、五番・佐藤輝のクリーンアップは相手にとって脅威となるはずだ。
さらに野手で大きいのは中大からドラフト1位で入団した
森下翔太の存在だ。8日のヤクルト戦はスタメン落ちしたが、それまで開幕から6試合続けて六番・右翼でスタメン出場を果たしていた。その打撃を見ると、まず恵まれた体から思い切りバットを振れることが大きい。もちろん、バットを振り回しているということではない。投手は打者のタイミングを外そうと考え、いろいろな球種を駆使して打者を抑えにくる。しかし、森下は体を前に出されるようなことがない。投手に翻ろうされる打席が少ないのだ。
タイミングの取り方にムダがなく、寝かし気味に構えたバットを投球に対して最短距離で出していく。タイミングが取れているから、自分の中のきちんとしたスイングができるのだろう。加えて軸もしっかりとしているから、強い打球も飛ばせる。ボール球にも手を出さず、選球眼も抜群。三振を喫したのも22打席目が初だ。ここまで打率.250、本塁打はゼロだがプロのスピードに慣れてくれば数字は右肩上がりになっていくはずだ。
右翼の守備力も高い。6日の
広島戦(マツダ広島)では初回一死一塁で
マクブルームが放った右翼へのホームラン性の当たりをジャンピングキャッチ。強肩も備えていて、プロの外野手としても十分、戦力となるだろう。
阪神は開幕3カードが終わった時点で5勝2敗1分の2位。今後の戦いがますます楽しみだ。
PROFILE 伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年
巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に
西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年
オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。