週刊ベースボールONLINE

伊原春樹コラム

伊原春樹コラム「セパで首位を走るチームを率いる指揮官。“監督力”が光る阪神、ロッテ 交流戦でも大崩れはしない」

 

首位を走るチームを率いる阪神・岡田監督[右]とロッテ・吉井監督[写真=BBM]


 両リーグともシーズン序盤の戦いが終了し、5月30日から交流戦へと突入している。どのチームも50試合弱を終えているが、首位を走っているのがセは阪神、パはロッテ。ともに今年から就任した岡田彰布監督、吉井理人監督が率いている。

 昨年まで5年連続リーグワーストの失策を犯していた阪神は、岡田監督が守備力アップに力を入れた。中野拓夢をショートからセカンドへ。そしてショートは現在、木浪聖也が守っているが、これがピタリとハマった。さらに守備位置が不動ではなかった大山悠輔は一塁、佐藤輝明は三塁に固定。主軸が打撃に専念できることがプラス効果を生んでいるように見える。

 昨年はリーグワーストだった出塁率.301も同1位の.329へとアップ(5月28日現在、以下同)。全体的にボール球に手を出すことが少なくなり、四球も同1位の166を選んでいる。岡田監督も攻撃の形として「それをあと押ししているのが四球を取る粘りと選球眼」と口にしているが、出塁能力が高まったのが大きい。

 出塁率は一番・近本光司が.414、二番.中野が.381。確実にチャンスメークする一、二番をしっかりクリーンアップでかえしている印象だ。さらに八番・木浪も出塁率は.366。下位でつくったチャンスを生かしているのは一番・近本が、四番・大山(29打点)、五番・佐藤輝(30打点)とそん色ない26打点を挙げていることからも分かるだろう。

 さらに阪神は新戦力が勝利を重ねていることも大きい。昨オフ、現役ドラフトでソフトバンクから加入した大竹耕太郎と、プロ2年間で未勝利だった村上頌樹が、それぞれ6勝、4勝とチーム1、2位の勝ち星。2人とも制球力が高く、ムダな四球を出さないのが好調の要因だろう。

 ロッテは打線で高部瑛斗荻野貴司藤原恭大らが故障離脱。だが、吉井監督が5月17日のオリックス戦(ZOZOマリン)で昨年まで通算89試合で36安打の茶谷健太を四番に抜てきすると、2安打2打点をマークするなど選手の状態を見極めながら巧みに起用している。1試合平均得点3.64はリーグ2位だ。

 さらにロッテの強みは投手陣だ。チーム防御率2.68は同1位。昨年夏場にトミー・ジョン手術から復帰した種市篤暉が3勝、先発再転向したベテラン右腕・西野勇士も5勝を挙げ奮闘していることが大きい。ブルペンデーとなった18日のオリックス戦(ZOZOマリン)では廣畑敦也岩下大輝東妻勇輔西村天裕ルイス・ぺルドモ小沼健太坂本光士郎益田直也の8人の継投で1失点。5対1で勝利を収めたが、投手出身の吉井監督の投手運用術が光っている。

 阪神、ロッテともに“監督力”が首位躍進の要因だ。得失点差も阪神は58、ロッテは34。両チームともリーグ1位を誇っているが、これだけ安定した戦いを繰り広げているから、交流戦でも大崩れすることはないだろう。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング