華やかなドラフトの裏で、またこの季節がやってきた。戦力外通告。支配下選手登録の70人枠がある以上、各チームとも避けては通れない道である。
選手本人に通告する球団幹部にとっても、最も辛い仕事。だからこそ、普段は一線を引く。ある編成担当に言わせれば、遠征先などチームに帯同していたとしても、食事に行くことなどは一切ないという。
一定の選手に近づけば、不公平が生じる。「クビ」が「残留」かのボーダーラインに入った際には、感情が入ってはいけない世界。だからこそ、適度な距離を保たなければいけない難しい立場なのだ。
今年に始まったことではないが、戦力外のタイミングが早くなっている。高卒3年で宣告を受けるのも、珍しくない。また高卒1年目を終えて、育成契約というケースもあった。
テーマは逸れるが、果たして育成選手を「元プロ」と表現していいのだろうか。以前ならば「練習生」に近い扱いとも言われる。ある元練習生に言わせれば、元プロの意識はないという。つまり、プロ野球チームに在籍していただけで、「元プロ」とは呼べない気がする。
挑戦したい気持ちはよく分かる。ただし、高卒3年で失業状態になるのはあまりにも酷。仮に大学進学、社会人の選択があるのならば、獲得する側、指名される側も、慎重に判断しないといけない。球界関係者がよく口にする「通用する選手は、いつ行っても通用する」という言葉を信じた方が良さそうだ。(岡本)