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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「広瀬叔功」

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俊足、強肩と負けず嫌いが外野の好守備につながった


 FAでの阪神入りを決めた糸井嘉男は、私と同じ京都の出身。それも、わが故郷・京丹後の隣町・与謝野町の出身なのだそうだ。昨年12月上旬には京丹後でトークショーを行い、大盛況だったと聞く。昨季、西武金子侑司と並び、パ・リーグ盗塁王に輝いた糸井(当時、オリックス在籍)。トークショーでは「縦ジマでも盗塁王を」とファンに約束したという。

 ところでこの盗塁王、私のプロ入り10年目までは連盟表彰がなかったことをご存じだろうか。1964年、盗塁王が連盟表彰となったのは、わが南海時代の同僚・広瀬叔功があまりに走り過ぎたからだ、と言われている。その64年、広瀬の盗塁数は自己最多の72個。とにかく全身バネ、と言っていいほど身体能力に優れた選手だった。

歴代2位の通算596盗塁をマークした広瀨。盗塁に関して美学を持っていた/写真=BBM


 広瀬は私の2年後、同じテスト生として南海に入団した。当初はピッチャー。ところが、これが何ともおかしな投げ方をするピッチャーだった。体は175センチあるかないかと小柄だし、ピッチャーとしてはとてもプロではやっていけそうにない。しかし足はメチャクチャ速く、体のバネが素晴らしかったため、野手に転向することになった・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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