
今で言えば巨人の菅野智之ら大エースがマウンドに上がる開幕戦。弱小チームを率いているとき、あえて“捨てゲーム”にすることも考えた/写真=菅原淳
「点取りゲーム」より「点をやらないゲーム」
長くプロ野球界にいると、やはり開幕戦は元日。いよいよ今年も始まるなあ、という1日になる。
誰しも、開幕には良いスタートを切りたい。しかし、私は監督をしていたころ、「開幕ダッシュをかけよう」など考えたこともなかった。いかんせん弱いチームばかり率いてきたから、そこまでの余裕がなかったのだ。
「なんとか勝つ方法はないか」――そればかりを考えていた。
そこでひたすら信じていたのは、野球の“意外性”。つまり、弱者でも強者を倒せるということだ。「プロは当たり前のことを、当たり前にやる」と言う。そのとおり、相手を0点に抑えれば、100パーセント負けはない。人はみな楽なほうを求めるから、「点を取らなければ勝てない」と言う。しかし、いくら点を取っても、それ以上に点を取られれば負けなのだ。「攻撃は最大の防御」などと言葉では言うが、実際そうはうまくいかないのである。
だから常に私の頭にあったのは・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン