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今週のテーマ
1年間を振り返る

 

 今年、担当させてもらった僕の選手コラムはこれで最終回。約半年間でしたが、ご愛読ありがとうございました。今回は総括として、今シーズンを振り返ってみたいと思います。

 まずは僕自身の成績について。ここ2年ほど後半に体がしんどくなってしまっていましたが、今年は何とか踏ん張ることができて、苦労がようやく報われました。トレーナーを多く自宅に呼んだりして体のメンテナンスの仕方を変えたことや、守備位置の変更などの要素が組み合わさった結果だと考えています。

 コンバートの影響は、去年や一昨年よりも良かった結果に表れています。やっぱり年齢を重ねると守備への影響もあるし、チームの布陣を考えれば、今年はファーストを守るのがベストだった。来年は誰が守るか分からないし、特に一塁は選手が多いからまた競争になる。来年までにしっかり準備をして、本当のファーストとしてプレーしたいですね。

 今年一番思い入れがある出来事を挙げるなら、田中投手(将大、楽天)からの本塁打で決めた日米通算2000安打かな(7月26日、Kスタ宮城)。ここ数年はその数字をずっと目標にしていたし、モチベーションはかなり高いものがありました。

 精神的には残り400安打くらいの方がきつい。一昨年や去年は数を減らすために必死にプレーすることが空回りになって、自分に変なプレッシャーをかけていました。逆算すると、「今年は頑張らないといけない。ケガできない。あれやこれをやらないといけない」というように。

 今年はあと100安打からのスタートだったから、「普通にやっていればクリアできる」と、重圧よりもモチベーションの方が大きかった。

 ただ、記録を達成してからはモチベーションを保つのがすごく難しかった。2000安打を打った選手と話すと、「一瞬気が抜けるような状態になるから、その後が本当にしんどい」とみんな口をそろえます。今思うと、例えば開幕時点で残り20本だったら前半で気持ちが切れてしまう可能性があったから、到達したのが7月の終わりで良かったかな。

 2000安打を直前にした数試合は本当に高い集中力を保てました。あんな状態は毎試合やれませんけどね(笑)。久々に自分の中で、チームとしてではなく自分自身で興奮できるものがあって、今年はやり切った感覚、充実感のある1年でした。

 チーム全体としては西野(勇士)や大地(鈴木)などの新戦力が台頭しました。ケガ人が多く出てしまい、それをカバーできる選手が現れたのはいいことだけど、チーム全員では戦えませんでした。戦力がなかなかそろわないチーム状況で、残ったメンバーは一つの束になってできたと思います。開幕前の評論家予想はほとんどが5位か6位だったけどそれを覆せたし、このメンバーで戦えたわけだから来年はもっともっと強くなれるはず。

 チームに求めたいことを挙げるとしたら、タフさが必要だということです。気持ちの優しい選手が多いし、もっとタフになってほしい。例えば投手なら、「当ててもいい」くらいの気持ちでインコースを攻めてほしい。野手は屋外球場で、体力的にもしんどいし、雨や風、暑さや寒さなど、ほかの本拠地のチームと比べたらタフにならないといけない。

 クライマックスシリーズでは西武との第3戦や楽天との第2戦などで、タフさを垣間見せることができましたが、それをシーズンの中で持続させないと。それはロッテに来たときからずっと思っているポイントですね。


 僕は来年で40歳になりますが、まだまだチャレンジし続けるつもりです。今年までは2000安打があって大きくスタイルを変えることには不安がありました。でも、今はいろいろな選手の打撃フォームを見て、「こういうタイミングでバットを回したいな、バットの出し方をしたいな」とか、「バットはこういう形に変えてみようかな」など、挑戦したいことがいっぱいあります。

 今年は反発係数が下限に近いボールを使用する中で日本に帰ってきてから初めて20本塁打以上を打てましたが、長打は左方向が多くて、昨年までの飛ばないボールに合わせたバッティングをしていました。僕の持ち味でもある右方向への強い打球を増やせれば、打率も良くなるはずです。

 今年の2000安打が最終地点というわけではないし、まだまだ自分自身の中でいろんなことにチャレンジして、どこまでできるか挑戦したい。それをぜひ楽しみに待っていてください。

▲2000安打は通過点。来年からのチャレンジに今からワクワクしています[写真=桜井ひとし]



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井口資仁 “Road from 2000”

2013年、2000本安打達成を控えた井口資仁が心境を語る不定期連載コラム。

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