タイトルホルダーを取り上げる連載インタビューの第2回はオリックスの若き右腕の登場だ。最速156キロのスピードボールと、多彩な変化球で12球団唯一の防御率1点台をマークした21歳が語る快投の要因とは――。 取材・構成=鶴田成秀 写真=佐藤真一 “ゼロの意識”で1点台をキープ
終わってみれば快投の連続だった。安定した投球を続けて、防御率は開幕から1点台をキープ。そんな快投を支えたのは、“ゼロ”に戻すという意識だ。好投時の良いイメージに左右されることなく、次の登板へ向けて1週間の調整を続けた。 ――先発再転向を志願して迎えた今季。ベストピッチングに今季初登板の
ソフトバンク戦(4月3日・京セラドーム)を挙げています。
山本 今年一発目の試合だったので、気合も入っていましたし、最初は失敗できないので、頑張らないといけないという思いもあったんです。そんな思いの中で、しっかり結果を残せた。だから一番、印象に残っている試合なんです。
――8回一死まで無安打に封じ、9回無失点の快投でした。
山本 抑えたことで、コンディションをしっかり整えて挑めば勝負できる。そう思える結果になりました。ただ、シーズン一発目に良いピッチングができましたが、良いイメージを残さないで次の登板に向けて準備をしたんです。良いイメージを持つことも大事ですが、次の登板まで1週間あると、それが邪魔をすることもある。だから一度ゼロに戻して、また作り直していったんです。『もう一回、同じような投球を』と思うのではなく、リスタートするイメージで。
――あくまで意識するのは、次の登板だった、と。
山本 はい。意識は毎週同じ。次の登板に向けて状態をベストに持っていくことでした。その考えになれば、自然とやるべきことも見えてきて。足が重いと思えば、足の疲労回復のトレーニングを取り入れるなど、細かいメニューを入れ替えていったんです。意識は同じでも、同じことをするのではなく、ベストの感覚に持っていくには、何をどうすればいいのかを考えていました。
――開幕から快投を続けてタイトルを獲得できたのは、そうした“意識”が要因でしょうか。
山本 当たり前のことですが、1試合1試合を大切にし、全力で挑めた。それが良かったのだと思います。
――ではタイトルを意識したことは。
山本 前半戦が終わった時点で、ある程度、数字が落ち着き始めて。そのときに1位だったので、このままの調子でいけたら最後まで1位でいけそうだな、獲れるんじゃないかな、と思い始めましたね。
――欲は生まれなかったですか。
山本 いや、1年を通して先発で投げるのは初めてでしたし、感覚が分からなかったので。タイトル争いというよりも、純粋に・・・
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