2021年、セ・リーグでは、過去に2ケタ勝利を記録した経験のない2人が最多勝投手となった。青柳晃洋(阪神)と並び、13勝で初タイトルを獲得したのが九里亜蓮(広島)だ。先発に完全定着して2年目。2ケタの壁を破って一気にタイトルを獲得してなお、さらなる高みを目指していく。 取材・構成=藤本泰祐 写真=宮原和也、佐藤真一、川口洋邦 
新型コロナ感染による離脱を除いて、一年間先発で回った21年は、被打率、防御率は前年より良くなかったが、しっかりと勝ちにつなげる投球を多く見せ、初タイトルにつなげた
効果があった、キャンプの347球の投げ込み
シーズン終盤、執念の追い込みでタイトルをゲットした。10月24日(対阪神、マツダ広島)にトップに並ぶチャンスを一度逃したあと、中4日で10月29日のヤクルト戦(マツダ広島)に先発し、苦しみながらもしのいで勝利を手にした。キャンプから培ってきたスタミナが、最後も生きた。 ──初の個人タイトルの最多勝、おめでとうございます。獲得していかがですか。
九里 うれしいです。プロの選手にとって、タイトルというのはやはり一つの目標だと思いますので。それを手にできたことはよかったと思います。
──同期の大瀬良選手は、先にこのタイトルを獲(と)っていますし、やはり追いつきたいという気持ちは強かったのでは。
九里 大地(
大瀬良大地)とは、やはり入団したときから、互いに切磋琢磨して頑張っていける関係でありたいと思っていましたし、またそうしてやってきていますので。まだまだ通算の勝ち星とか、全然大地のほうが上で、これで並んだわけでもありませんけれども、少しでも追いついて、この先も互いに頑張っていきたいと思っているので。そういう意味でも、タイトルを獲ることを経験できたのは良かったと思います。大地からは、最多勝が決まったあと、「おめでとう」と声を掛けてもらいました。
──終盤の追い上げが印象的でしたが、最多勝を意識したのはいつですか。
九里 最後の登板ですね。あそこは、「チャンスがあるんだから」ということで、監督さん、首脳陣の方にもそういう(タイトルを獲りにいく)形で起用をしていただきましたし、何としても獲りたい、と思っていました。そこまでは、変に意識するといい影響はないので、できるだけ意識せず、その日その日の登板に集中するようにしていました。
──10月24日に好投しながら敗れ、中4日で29日に先発して勝利を手にしました。「24日に勝てなかったら、中4日で最後の登板にかける」というプランはあらかじめあったのでしょうか。
九里 いえ、29日に投げることが決まったのは24日の試合のあとですね。まずは24日の試合に集中していくということでいきました。ただ、29日のゲームは、勝つことができましたが、内容はよくなかったんですよ(5安打4四球1失点で5回を投げ切り、勝利投手の権利を得て降板)。ですから、先に取られた1点を逆転してくれた野手の方々、そして僕のあとをつないでくれたリリーフのピッチャーに、ホントに感謝、という1勝でした。
──2021年、最多勝が獲れた一番の要因は、ご自身ではどこだと思いますか。
九里 シーズンの最初を・・・
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