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2024タイトルホルダーインタビュー

西武・今井達也インタビュー 長い回を投げる“クローザー”「ファンの方にとっての『希望』、対戦相手にとっては『絶望』でありたい」

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有言実行を果たしたシーズンだった。奪三振王を誓って臨んだ2024年、見事にその称号を手に入れた。チームが貧打に苦しむ中、2ケタ勝利も達成。背番号48の進化がますます楽しみになる。
取材・構成=上岡真里江 写真=宮原和也、BBM


大して曲がらないスライダー


 49勝91敗3分けで最下位という低迷を極めたどん底のチーム状況の中で、強打者相手に真っ向勝負を挑み、三振の山を築いて雄叫びを上げる今井達也の熱投にチームも、ファンも、どれほど勇気づけられたことか。常々、「三振は確実にアウトを取れる手段。それが多いというのは、ピッチャーの能力に長けているということだと思っている」と、その価値を位置付けてきたからこそ、奪三振王は最も欲しいタイトルだった。

──必勝祈願の絵馬に、今季の目標として『最多奪三振』としたためました。そして見事同タイトルを獲得。やはり、奪三振数は開幕から登板するたびに意識していたのでしょうか。

今井 絵馬には書いたのですが、あくまで『目標』で。実際はそんなにうまくはいかないだろうとは思っていました。ただ、あえて言うなら投球回数以上は三振を取りたいなと常に思っているので。例えば前の試合で7回11奪三振だったとしたら、イニング数より4個多いので、もし次の試合で6回2奪三振でも前回4個多く取った分、それを足して6回6奪三振という計算で考えるようにしていますね。やっぱり、全試合で投球回数以上を取ろうと意識し過ぎると、どうしても空回りすることがあるので。それに当然、各チーム「三振しないように」ということを武器としているタイプの打者もいます。そういう打者に対して無理に三振を取りにいっても、ストライクからボールになる球を見逃されたり、低めの極どい球には手を出さないようにされたりする。その結果ボール先行になって、最終的に四球で歩かせてしまうケースも少なくなかったですからね。なので、「取れそうだな」という打者からしっかり確実に三振を取ることを考えていました。

──狙った上でのタイトル奪取、2年連続2ケタ勝利、リーグ3位の防御率2.34などの成績も含め、自身の2024シーズンに点数をつけるとしたら?

今井 100点中90点ぐらいですかね。足りなかった10点は、三振が187個だったので、(目標だった200奪三振まで)あと13個、どうにかできなかったかなというところです。それに10勝8敗……8敗がちょっと納得いかなかったですね。

──現時点で、「あと13奪三振」のためには何が必要だったと考えますか。

今井 今年は基本的に真っすぐかスライダーしか投げていなかったですからね。別にそれは反省ではなく、逆に真っすぐとスライダーだけでタイトルを獲れたという意味では自信にはなりましたが、どこかシーズン途中でスライダー以外にも空振りを狙って取れる球種が1球種でも投げられていたら、あと13個は取れていたんじゃないかなとの思いはあります。その意味では、シーズン中の反省よりは、それ以前のシーズンが始まる前の自主トレ、春季キャンプなど成績を気にせずに練習だけに集中できる段階でしっかりともう1球種、空振りが取れる球種を増やせていればというのはシーズンが終わったいま、感じている部分ですね。

──「真っすぐとスライダーだけで」というのは、あえての挑戦だったのですか。それとも、結果論としてそうした配球になったと?

今井 自分の中ではスライダーが一番空振りも取れて、カウントも取れて、ちょっとした微調整で曲がり幅も変えられる球種。1球種ですが、その中で・・・

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