最速141キロの本格派右腕であり、50メートル6秒2、遠投110メートルと身体能力が高く、打っては四番を任された。大阪の有力公立校に在籍も、3年間で府大会8強が最高成績で甲子園には縁がなかった。攻守にわたる野球センスの塊であり、プロでは野手として一流選手の域を追い求める 好投手から結果を残し芽生えた現実的な目標
二刀流という言葉は、野球界において、今や2足のワラジを履く選手の常套句となっている。大阪の公立の雄・大塚高で1年夏の府大会から、その“二刀流”を全うしてきた男が、10月22日のドラフトで
楽天から7位指名を受け、晴れてプロ野球選手の仲間入りを果たした。その名は
村林一輝だ。
「(7位指名で)時間が遅かったので、指名されるのか、ずっとドキドキでした。『選択終了』していく球団がある中で、もう無理なのかな……と思ったので、名前を呼ばれたときは涙が出ました」
子どものころから野球に取り組んできた者の誰もが、プロ野球選手になることを目標に抱く。ただ、大阪の府立校で地道に白球と向き合ってきた村林が、その夢を現実に見るには大きなきっかけが必要だった。
「自分がプロになるイメージなんて、昨年まではどうしてもわきませんでした。でも、高校でずっと野球をしてきていろいろな学校や選手と対戦して、自分もやっていけないことはないと思えるようになったんです」
そう感じたのは今春の府大会が終わってからだった。初戦で、昨夏から府内で注目を浴びてきた好右腕・
吉田大喜を擁する大冠高といきなり対戦。試合は互いに譲らないまま延長戦に入ったが、11回に自ら2ランを放って試合を決め、投打にわたり実力の片りんを見せつけた。
準決勝では来年のドラフト上位候補の履正社高の2年生左腕・
寺島成輝に対し、寺島の宝刀であるフォークをうまくとらえ、センター前へ運んだ。その後の打席でもヒットを放つなど、3打数2安打。「変化球でしたけれど、うまく持って行けたと思います」。注目選手に対してひるまず自分の力を見せつけられたことは、気がつけば大きな自信になっていた。
履正社のドラフト上位候補左腕・寺島から2安打を放つことなどで自信を深め、プロ野球の世界で勝負したい欲がわいてきたという
小学校から投手兼遊撃手、取り組み熱心な練習の虫
野球を本格的に始めた小学校1年から投手とショートを兼任してきた・・・
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