10月26日に行われた2023年のNPBドラフトで支配下72人、育成50人が指名を受けた。夢の扉を開いた選手を短期集中連載でピックアップする。まずは、大卒から独立リーグ2年目でプロ入りを手にした左のスラッガーだ。 取材・文=高田博史 
10月29日に指名あいさつを受けた。右はDeNA・八馬スカウト[写真=徳島球団提供]
ドラフト前夜、
井上絢登は徳島県内の自宅にいた。「運命の日」を前に、福岡の実家から父・勝貴さんが駆け付けている。まだ、緊張感はない。
2年連続で最多本塁打(14本)、最多打点(39打点)の2冠に輝き、年間総合優勝の立役者となった。課題にしていた打率は.246(14位)から.312(2位)まで上げて、シーズンを終え11月には四国リーグの年間MVPにも選ばれている。
「これで呼ばれないと、おかしいだろう」
そう話す父に、「でも、ドラフトは運だから……」と返した。
会議の生中継を見守る会場となる、大型ショッピングセンター『ゆめタウン徳島』へは、
椎葉剛(
阪神2位指名)、谷口朝陽(
西武育成2位指名)の3人で、1台の車に乗り合わせて向かった。「3人とも、掛かるといいなあ!」
道中、そんな話をしている。
獲得に興味を示してくれた球団の数は、昨年の『3』から『7』まで増えている。椎葉がドラフト2位で指名された歓喜の瞬間があり、続いて西武から5位で宮澤太成が指名された。井上の両隣に座っている2人が、先に指名を受けている。 6巡目の指名が始まり、
日本ハム、
ヤクルトが続けて『選択終了』を発表した。
「ヤバイな……」
DeNAは、1位で外野手の
度会隆輝(ENEOS)を指名している。同じタイプの野手を、2人は獲らないのではないか? この時点で「DeNAからの指名はないな」と予想していた。だが、予想は見事に外れ、すべてが吹っ飛ぶ。
「いや、もうほんと・・・
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