スケール感ある投球スタイルと愚直に練習へ打ち込む性格を持つ、広島から3位指名を受けた最速153キロ左腕。感謝と恩返しのプロ野球生活が始まる。 取材・文=武石来人 写真=矢野寿明 
10月26日のドラフトでは、母の遺影を傍らに指名を受けた。本当の恩返しはここから始まる
11月20日、広島と仮契約を結んだ場で、
滝田一希という選手の性格が分かる言葉があった。「一番評価していただいた球団。この球団で生涯、野球を終えるという目標ができた」。根底にあるのは「報恩謝徳」の精神だと言っていい。自然豊かな北海道・黒松内町で育ち、温かな周囲の人々によって育まれた素直で純粋な青年は、遠き地から輝きを届けようとしている。
最速153キロの直球とブレーキの効いたチェンジアップで三振を奪える左腕は、将来を期待させるだけのスケール感を備える。指導してきた星槎道都大・井坂肇コーチは「
菊池雄星投手(ブルージェイズ)のようにボールの力で抑え込めるタイプ」と滝田を評した。確かに躍動感ある投球フォームは海の向こうで戦う選手を思い起こさせる。
ただ、寿都高時代はまったく無名の存在だった。周りからは「人見知り」だと言われる性格で、自己主張の強いタイプではない。それでも、「背が高く、足が速い。野球選手として非常に魅力があった」と星槎道都大の
二宮至監督(元
巨人)が声を掛けた。今となっては、
中日や
DeNAでコーチを歴任した経験からくる確かな評価だったことが分かる。
恩師たちの下、順調に成長を重ね、3年時の春には・・・
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