オリックスの入団発表会見が11月29日、大阪市内で行われた。背番号47の長身右腕は「角度あるストレートと鋭く落ちる変化球が持ち味なので、そこを見ていただけたら」と抱負を語った。育成力のある球団で成長が期待される。 取材・文・写真=阿部ちはる 
左足を大きく上げた躍動感あるフォームが特長で、キレのあるストレートを投げ込む[写真=中島奈津子]
学生コーチが転機
悔し涙を、喜びの涙に変えた。10月24日のドラフト会議でオリックスから3位指名を受けた仙台育英高・山口廉王は名前が呼ばれた瞬間、驚きと喜びで飛び上がったあと、大粒の涙を流した。悔し涙を流した最後の夏から約3カ月。不安の中で過ごしてきただけに、続けてきた努力が報われた瞬間となった。
仙台育英高入学直後、痛めていた右肘の手術を行い、1年間、野球はおろかウエート・トレーニングさえできない時間を過ごした。ストレッチや体幹の強化に励み、2年春から投球を再開。その冬にトレーニングを見直したことで体つきが大きく変わり、球速も上がったことでプロのスカウトから注目されるまでに成長。3年春からは、背番号1を着けた。
その間、最も成長したと感じるのは精神面だと振り返る。きっかけは2年生の秋から務めていた学生コーチだ。プロ野球選手を目指すにあたり、人としての成長が必要だと感じた須江航監督が与えた役職。山口自身も「人間性が変わることで、プレースタイルや練習に向き合う姿勢が変わるはず」と選手と兼任で取り組んだ。監督からの指示を選手に伝えたり、人前で話をしたりすることが求められるが、「自分はそういうタイプではなかった」と最初はその役割を果たせずに悩むことも多かったという。それでも監督やチームメートの支えもあり「客観的に物事を見ることができるようになりましたし、指示を出すことができるようになるなど、人として成長できた」とうなずいた。須江監督も「3年の春くらいにはやらされているのではなく、彼自身が自分の精神的な成長がチームの勝利につながることに気付いたようでした」と目を細めた。
さらに「ターニングポイント」と語るのが・・・
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