和歌山にバットで魅了できる「打てる捕手」がいる。中田翔以来の怪物とも……。高校通算本塁打はすでに80本を超え、3ケタも通過点となりそうな勢い。強肩捕手としても注目を集めて「夏の主役」に躍り出る。 取材・文=谷上史朗、写真=前島進 初芝橋本は2001年夏に1度だけ甲子園出場実績がある(初戦敗退)。「打てる捕手」と注目を浴びる黒瀬が14年ぶりの夏へ導く覚悟だ
“中田ネット”を越える特大弾を3回も記録
東では和製ベーブ・ルースとも、
松井秀喜の再来とも言われる怪物1年生の話題で持ちきりの春。西にも近畿各地でアーチを量産する怪物が登場してきた。4月18日に行われた春季大会初戦(対慶風高)で放った一発で、高校通算本塁打は80本。大阪桐蔭高時代の中田翔が記録した87本の更新も見据える初芝橋本高の
黒瀬健太だ。早くも編成トップを従え観戦の球団もあり、プロの評価も気になるところ。
「もう少し高いレベルの投手との対戦を見たい」というスカウトの声はあるが「ひいき目ではなく8割以上はどの球場で打ってもホームランの当たり」と芝野恵介監督が語る飛距離は本物だ。取材日も、芝野監督と林コーチが互いに譲らず盛り上がっていた。
「向陽のときのホームランもすごかった。95メートルのレフトフェンスを越えて行ったときはまだまだ打球が上がっていく途中やったからなあ」(芝野)
「僕は上富田の一発の方がより強烈でした。レフト場外にある事務所のところまで飛びましたよね。130、140メートル、いやもっとかも……」(林)
ちなみに「向陽のホームラン」とは4月4日に向陽高のグラウンドで行われた練習試合で1試合3発を放ったときの1本目。「上富田の一発」とは3月22日に大阪の予選会場としても使われる上富田球場での金光大阪高戦で放ったホームランだ。そこで本人に確かめてみたところ、「上富田……。あ、白い建物のあたりまで飛んだ分ですか?」「向陽のホームランは1本目ですか? 2本目ですか?」とやや頼りない反応。首脳陣の高ぶりとはいかにも温度差があったが、常に飛ばしている本人には飛距離に対する感激ももはやないのか……。そんな風に向けるとキラキラの笑顔で「いえ、そんなことはないんです」と続けてきた。
「どこまで飛んだのかしっかり見てないんでよく分からなくて。でも、飛んだということなら、自分的には去年の慶風戦で打ったホームランが一番だと思います。紀三井寺の球場はスタンドもちゃんとあって大きい感じがしますし、ネットも高いんで」
「慶風戦のホームラン」とは・・・
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