昨年のドラフトでは大商大から2人の投手が指名を受けた。この戦力を補うため、最終学年での飛躍を誓う149キロ右腕が自覚十分。3年間で未勝利ながらも、素材は抜群であり、この春は大黒柱で投げ続ける。 取材・文=沢井史、写真=早浪章弘 
表情からも自覚と責任がみなぎっており、この春、何かをやってくれそうである
大商大は過去10年間で11人のドラフト指名を受け、関西大学球界でトップの数字だ。昨年は左腕・
橋本侑樹(
中日2位)、右腕・
大西広樹(
ヤクルト4位)の両投手がNPBの門をたたいた。
吉川貴大は先輩2人の背中を追い続けてきた。
1年春のリーグ戦からマウンドを経験。
「監督さん(富山陽一氏)から『早い段階で投げさせるぞ』と言われたんです。ただ、入学当時の体重が80キロ台後半だったので、10キロ以上落とすところが始まり。絞ってから体をつくりました」
開星高出身。同校は
広島にあるスポーツジムのメニューに沿って、体づくりを進める。高校入学当時、吉川は細身だった。
「身長はすでに180センチありましたが、体重は60キロくらいしかなかった」。体を大きくするために、入学直後からトレーニングと食事で増量に努めた。もともと太れなかった体質。「空腹の状態がないくらい食べていました。空き時間におにぎりを食べて、その後にプロテインを飲む。死に物狂いで何かを口にしていました」。
高校2年の終わりには体重は80キロに到達。体重が1キロ増えればスピードが1キロアップするとトレーナーから言われたとおり、3年春のセンバツでは八戸学院光星高との1回戦の初回、入学時より20キロアップの147キロを計測。だが、そこから歯車が、微妙にかみ合わなくなった。
「フォームがバラバラになって、球速も伸びなくなって。春先は公式戦で投げることは少なかったのですが、以降に徐々に投げ始めても状態がほとんど上がりませんでした。夏になって県大会でも思うようなピッチングができず、準決勝で負けました」
当時から目標にしていたのは「周囲を圧倒できるピッチャー」。体を大きくしたことで馬力がつき、スピードでは圧倒していたが、今思うと・・・
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