あこがれの球場まで10キロ圏内。甲子園は近くて遠い場所だが、その距離を着実に縮めている。入学以降、ストレートは13キロアップ。元プロが認める大器である。 取材・文=沢井史 写真=石井愛子 
兵庫の県立校・武庫荘総合高は春、夏を通じて甲子園出場経験はない。県内には私学強豪がひしめくが、果敢に挑戦する
2016年の
阪神ドラフト3位で
才木浩人(須磨翔風高)、17年の
中日ドラフト6位で
山本拓実(市西宮高)、そして昨年のドラフトでは明石商高から
中森俊介が
ロッテ2位指名。兵庫県では毎年のように、公立高校から好投手が出現するという“土壌”がある。全国的には無名だが、21年は武庫荘総合高・
斉藤汰直がにわかに注目を集める。同校は春夏を通じて全国大会の出場経験はない。同校から甲子園は10キロ圏内と、近くて遠い場所だ。
中学時代は軟式野球部に所属し、ストレートは130キロが出るか出ないか。公式戦で勝ち上がることもなかった。高校入学後に硬球を握ると、2年秋の時点で最速144キロを計測する右腕に成長した。
植田茂樹監督は尼崎北高時代、1995年夏に甲子園へ導いた。30年以上の指導キャリアを誇る指揮官が、斉藤の高校入学当時の印象をこう振り返る。
「今まで見てきた1年生の中では一番。とにかく素材が良い。体がしっかりしていて、ヒジの使い方も含めて野球の動きに対して柔らかさがありました。しかも、足も速い。こんな選手がいるのか、と」
練習試合で投げさせれば、結果を出せる素材だと確信があった。しかし・・・
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