好きな投手はかつて「優勝請負人」と言われたNPB通算224勝左腕・工藤公康(現ソフトバンク監督)だ。172cmの身長を感じさせないほど、マウンドでは大きく見える。打者を圧倒するスタイルを目指す。 取材・文=服部健太郎 写真=佐藤真一 
天理大は19年に捕手の石原、20年に左腕・森浦がプロ入り。プロ野球は身近な世界になっている
「『オレはプロになる!』。子どものころから周りにはずっと、そう言ってきました。時には『おまえがなれるかい』などと言われたりもしましたが、強い思いは、口に出さないと何も始まらないと思い、公言し続けていました。プロへの思いは強いほうだと思います」
天理大をけん引する好左腕・
井奥勘太は、きっぱりとした口調でそう語った。
2019年は2学年上の捕手・
石原貴規、昨年は1学年上の左腕・
森浦大輔がともに
広島からドラフト指名を受けた。天理大で一緒にプレーした先輩が2年連続でプロ入りを果たしたことで、目標の世界との距離はよりリアルに感じ取れるようになった。「プロの物差しができたことで『正しく頑張れば、自分も届く』と思えるようになりました」。理想とする投手像は、工藤公康(現・ソフトバンク監督)だ。
「流れるような投球フォームに魅せられました。滑らかなイメージを自分の体に刷り込ませる意識で、いつも現役時代の映像を動画サイトで見ています」
兵庫県神戸市出身の井奥が野球を始めたのは幼稚園年長時。地元の軟式少年野球チーム・鵯台ライオンズに入団し、野球の虜(とりこ)となった。エースを任された6年時から、本格的な投手人生が始まった。
桃山台中では、ヤングリーグに属する硬式クラブチームでのプレーを経て、中学3年から元
阪神の名内野手・
鎌田実氏(19年死去)が立ち上げ、監督を務めた「KBAカマタベースボールアカデミー」に所属した。井奥は「鎌田監督にカーブを褒められたことが忘れられない」と笑顔で振り返った。「鎌田監督は・・・
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