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2021ドラフト候補クローズアップ スカウト熱視線のプロ注目プレーヤー

大山和泉(宮崎日大高・捕手)強肩強打を誇る超攻撃型司令塔

 

昨夏は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国大会が中止。県主催の独自大会を制したが、甲子園にはつながらなかった。悔しさを味わった昨秋を経て、ラストチャンスにすべてをかけている。
写真=上野弘明

二塁送球は1秒8台、遠投100メートル。全国トップレベルの潜在能力を誇る


「甲斐キャノン」と称される強肩で、4年連続日本一の王者・ソフトバンクを支える甲斐拓也があこがれの存在だ。宮崎日大高・大山和泉は、鉄砲肩とクレバーなリードが光る司令塔。コロナ禍で中止となった昨夏の宮崎大会に代わる独自大会で頂点に立ったものの、目標である甲子園の土は踏めなかった。最後の夏こそは、夢舞台の切符をつかみにいく。

 二塁送球は1秒8台、遠投100メートル。捕手として全国トップレベルの能力を備え、1年時からマスクをかぶってきた。的確な技術に加え、豊富な経験値も魅力の一つだが、宮崎日大高・菊池正敏監督が一目置くのは「考える力」。同校OBとして、1997年夏の甲子園に初出場した際、捕手を務めた菊池監督も「キャッチングやスローイングの技術はもちろん、投手と信頼関係を築くのがうまい。ピッチャーに応じて、うまく考えてリードできる選手です」と太鼓判を押す。

 主将として70人近い部員を束ねながら、レギュラーでは唯一、国公立大や難関私立大を目指す特別進学科に籍を置く。授業時間も長く、グラウンドに顔を出せるのは、ほかの部員たちから遅れること約1時間後。「時間がない分、練習中はとにかくムダをなくし、集中しています」。自主練習も欠かさず、自らの課題を明確にしながら、向き合っている。

ターニングポイントは中学3年9月の全国大会


 都城市出身。祝吉小2年時に地元の祝吉オリオンズに入団した。2人の兄も捕手で、「兄のプレーが格好良かったし、ボールにもたくさん触れる」と小学4年から同じ捕手に。持ち味の肩の強さを生かし頭角を現すと、6年生で「小学生の甲子園」と呼ばれる全日本学童軟式野球大会に出場。中学硬式チームからの誘いもあったが、「仲間と一緒に野球がしたい」と地元・祝吉中の軟式野球部を選び、2年の秋の県大会で準優勝した。

 転機となったのは、中学3年の2018年9月に「全国中学生都道府県対抗大会in伊豆」(Kボール)に宮崎県選抜チームの一員として出場したことだ。先発マスクをかぶり、県内各地の中学校から集まったタイプも異なる投手を巧みにリードし、勝ち進んだ。準決勝は高知中で春、夏連続の全国優勝を成し遂げ、軟式球で最速150キロを計測していた森木大智(現高知高)を擁する高知県選抜と激突。強気のリードで優勝候補最右翼を3対0で破ると、オール茨城との決勝もバッテリーを中心に1点を守り切った(1対0)。

「投手陣のレベルが高く、ミットを構えたところにボールがきっちり来る。リードもしやすかった」。計5試合で失点はわずか3と、捕手冥利に尽きる結果を出す。複数の学校から誘いを受ける中、レベルの高い選手も集まる宮崎日大高を選んだ。

大量リード守れず痛恨のサヨナラ弾


 宮崎日大高では1年夏からベンチ入り。同秋の県大会から正捕手に抜てきされると、県大会準優勝で、九州大会へ進出した。鹿児島実高との1回戦で逆転の適時打を放つなど活躍を見せたが、創成館高との準々決勝で敗退し、センバツ切符を逃した。「ほかの強豪校の選手と比べて、体の線も細いしパワーもなかった。ほとんど打てませんでした。さらにレベルアップしないといけないと自覚しました」。冬場は体づくりに一から取り組み、春までに体重を7kg増やした。

 しかし、コロナ禍で春以降の大会は軒並み中止となり、夏の甲子園とその地方大会となる宮崎大会も中止に。「センバツ」にあと一歩届かず、夏も甲子園の夢を絶たれショックは大きかった。

 宮崎県高野連が主催する独自大会は、1学年上の先輩との最後の大会。最上級生だけでチームを編成する高校も少なくなかったが、宮崎日大高は2年生の大山らをベンチ入りさせた。「最後まで試合に出られない先輩もいる中、下級生の自分が出る。今までにないぐらい緊張しました」。そのプレッシャーを振り払うかのように、攻守で躍動。課題の打撃では冬場に培ったパワーと、捕手目線で相手の配球を読む力を発揮し、クリーンアップの一角を担った。守っても、1試合平均1失点。宮崎学園高との決勝では、3年生エースを巧みにリードし、12対2で完勝、先輩たちの有終を飾った。

 前主将から「和泉(大山和泉)がいれば必ず、甲子園に行ける。自分たちの分も頑張れ!」と託されたバトン。夏の経験者も残るチームは、昨秋の県大会も優勝候補筆頭に挙がっていた。

 だが、宮崎商高との準決勝で落とし穴が待っていた。6回表を終え、6対0と大きくリードし、迎えた裏の守備。二死一、二塁、打者の様子を見ようと投げさせた初球の変化球をスタンドへ運ばれた。相手の追い上げムードは一気に高まり、瞬く間に点差は縮まった。9回裏に追い付かれ、延長11回裏に痛恨のサヨナラ弾(6対8)。

「『点差もあるし、大丈夫』という油断がチーム全体にありました。ワンプレーの大切さを思い知ったし、忘れられない試合になりました」と振り返る。

 最上級生となった今春の県大会は、投手陣が力を出し切れず、準決勝敗退。夏の大会直前の公式戦は再びコロナ禍でなくなり、7月に開幕予定の宮崎大会が最後となる。「もちろん、将来はプロ入りを目指しています。ただその前に、先輩たちから託された夢をかなえたい。この夏は絶対に勝ちたいです」。NPB5球団のスカウトも熱い視線を注ぐ17歳は、2年連続となる夏の頂だけを見据えている。

打撃面も勝負強い。主将としてバットでもチームに貢献していきたい


PROFILE
おおやま・いずみ●2003年9月11日生まれ。宮崎県出身。175cm75kg。右投右打。祝吉小2年時、祝吉オリオンズで野球を始め、祝吉中では軟式野球部。宮崎日大高では1年秋から正捕手を務め、同年の九州大会で8強進出。50メートル走6秒4。5月24日時点で、高校通算10本塁打
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