独立リーグとは、夢を追う場所である。一度は現役の道が閉ざされかけたが、あきらめなかった。2023年。新天地で大きなチャンスをつかみ、NPBへの道筋を、自らの手で切り開いてきた。 取材・文・写真=高田博史 写真=佐藤友美 
独立リーグ日本一のタイトルを手にすることはできなかったが、この1年間、すべてを出し切った自負がある
浮かない表情で、
椎葉剛が坊っちゃんスタジアムのロビーに現れた。独立リーグ日本一を決める『日本独立リーググランドチャンピオンシップ2023』準決勝、対埼玉武蔵ヒートベアーズ戦(9月30日、松山市)が終わった。翌日の決勝に向けて準備していた椎葉に出番はなく、徳島が目標としていた日本一は幻となった。
「いやあ、悔しいですよね。やっぱり投げたかったですね」
前日行われた準々決勝、対富山GRNサンダーバーズ戦で投げた感触は悪くなかった。この球団を日本一に導いて、今シーズンを終える。そして、ドラフトで指名を待つ──。そんな青写真を描き、松山に乗り込んできていた。
「チーム自体、悔しい結果になってしまったので……。実際、今日投げられれば、自分が投げられればな、と思う部分があったので……。投げられなかった悔しさはありますね」
あれはちょうど、3カ月前のことだ。四国アイランドリーグplusの後期開幕戦となった、対愛媛マンダリンパイレーツ後期1回戦(6月24日、松山・坊っちゃんスタジアム)で157キロを連発し、スタジアムをどよめかせた。この球場に足を踏み入れたのは、そのとき以来になる。
高卒社会人3年目が転機
島原中央高では捕手だった。2020年春、ミキハウスに入社するタイミングで・・・
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