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合木凛太郎(佛教大・投手) 才能と気迫を追求する148キロ右腕「自分の有利なカウントで勝負できる投手を目指す」

 

大学4年間で急成長した。その大きな要因は、チームメートに高め合う存在がいたからだ。ラストシーズンも、ダブルエースがリーグ優勝へと導き、夢のプロ入りへのきっかけにしていきたいところだ。
取材・文=沢井史 写真=BBM

遠投115メートル、50メートル走6秒1のポテンシャルの高さが、投球にも生かされている


武器はカットボール


 今年の佛教大のダブル右腕の注目度が、じわじわと増している。1人は成長著しい最速153キロの剛球が武器の赤木晴哉。もう1人が最速148キロの速球を誇り、ゲームメーク能力が高い合木凛太郎だ。

 合木の持ち味は安定感だ。今春、登板したリーグ戦5試合で27回2/3を投げ、与えた四球はわずか6個。無駄なボールが少なく、若いカウントから勝負できる。

「一番、自信がある変化球はカットボールです。リリースポイントが高い分、ほかのピッチャーにはないポイントからキレのある球を投げられるので、三振や空振りを取れていると思います」

 高校時代からカットボールは武器としていたが「当時はアバウトな曲がり方で、大学ではそれでは通用しないと思ったんです。コーチから武器になる変化球があったほうがいいと言われていたので、大学に入って磨いていこうと思いました」。

 半年で精度が増した“宝刀”は、投げるたびに縦横の変化もついた。調子が良いときはストレートの力で押し、ファウルを打たせてカウントを整える。最速148キロのストレートは「これからもっと威力をつけていきたい」と意気込む。

 奈良・高田商高での下級生時、ストレートは決して速くなかった。2年時は新型コロナウイルスの影響で春の公式戦がなく、夏に行われた独自大会はチームが3年生優先で試合に出場していたため、登板はなし。新チームとなった2年秋から実戦登板が増えた。冬場のトレーニングを経て3年春、急激に球速アップした。

「夏が近づくにつれて、スピードが増してきたんです。夏の大会で140キロを超えるようになりました」

阪神・前川との対決


 忘れられないのは、3年夏の奈良大会。準決勝でエース・達孝太(日本ハム)が注目され、赤木もベンチ入りした天理高を撃破した。決勝の相手は、のちに甲子園で準優勝を果たした智弁学園高だった。だが、決勝では初回に先発投手が打ち込まれ、背番号10を背負った合木が急きょ登板した。強打者が並ぶ打線と相対し、特に前川右京(阪神)との勝負は今でも脳裏に焼きついている。

「あのときの智弁学園の打者は誰もがすごかったのですが、特に前川選手は人一倍体が大きいのにコンパクトなスイングをしていました。追い込んでからしっかりとらえられたヒットを打たれました」

 試合は7回1/3を投げ6安打を許すも無失点。だが、4対6で敗れ甲子園出場はならなかった。無失点に抑えることができたとはいえ、当時はまず大学で経験を積むことを考え、佛教大の門を叩いた。

 入学してからは赤木との二人三脚の日々だが、刺激を受ける日々が続く。

「赤木は上背もあってポテンシャルも高くて。その辺りは赤木のほうが上ですけれど、自分は違う部分で強みを出していかないといけないと思いました。(赤木は)競い合える良い仲間だと思っています」

 リーグ戦デビューは赤木と同じ2年春。同春に初勝利を挙げて以降、2年秋は2勝、3年春には4勝をマークし、初のベストナインを獲得するなどして、リーグ優勝に貢献。直後の全日本大学選手権でも伸びのあるストレートを操り、140キロ台中盤を連発するなど早くも翌年秋のドラフト候補と目されてきた。合木自身も、昨年の大学選手権が将来を見据える大きなきっかけとなったと振り返る。

「3年春はリーグ戦で投げさせてもらえる機会が増えて、徐々に自分のピッチングに自信を持てるようになりました。その中で全国大会のマウンドにも立てて、上武大と対戦したときに思った以上に自分のボールが通用した感覚がありました。(マスコミに)取り上げてもらえる機会も増えて『プロへ行くという選択肢もある』と思えるようになりました」

今年の全日本大学選手権は北海学園大との2回戦に先発し、3回3失点で降板した


 それまではプロの世界は夢のまた夢だった。投げるたびに自信を手にする中、自分の前を常に走っていたのが赤木だった。そのころから150キロを超える剛球を武器としており、比較されることも多かったが、赤木はライバルというより、自分を高めてくれる存在だと合木は明かす。

「赤木みたいな派手なボールを投げてみたいとは思いますが、その前に自分は真っすぐをもっと強くしていかないといけないと思っています。上の世界で競っていく上で150キロの球威は必要ですが、プロの世界は150キロのボールを持つ投手はたくさんいます。突出した部分は自分にはあまりないですが、球威をつけつつ球質も意識していきたいです。カウントをしっかりつくって、自分の有利なカウントで勝負できる投手を目指しています」

投球スタイルの確立


 理想の投手像は、周囲を安心させられるようなピッチャーだ。大学で場数を踏み、コントロールも安定したが、最後のアピールとなる秋のリーグ戦に向けて力強さをテーマとし、準備を進めている。

「夏場は体づくりにも時間をかけるつもりです。体を大きくしていきたいですが、筋肉量を増やし過ぎると柔軟性がなくなってしまうので、投球につなげられる筋肉をつけたいです。ピッチングと照らし合わせながら体重を増やして、真っすぐを強くしていきたいです」

 あこがれの投手は、今井達也(西武)である。

「今井さんはマウンド上で何でもサラッとこなしてしまうところがすごい。裏ではものすごく努力されていると思うんですけれど、それを感じさせない投球をしていますよね。才能でも投げられるし、気迫でも抑えられるところにあこがれます。その点において、自分はまだまだな部分が多いです。まずは全国大会のようなレベルの高い大会で、自分の真っすぐが通用するようにならないといけません。その中で変化球もうまく使えるように、しっかり自分のピッチングスタイルを磨いていきたいです」

 大学4年間で着実に成長を遂げてきた右腕。学生最後の秋のリーグ戦では赤木とともに輝きを放ち、運命の日に名前を呼ばれることを心待ちにしている。

PROFILE
ごうき・りんたろう●2003年8月24日生まれ。奈良県出身。182cm80kg。右投右打。広陵東小1年時に広陵東パワフルズで主に内野手として野球を始める。3年生から投手も兼任。広陵中では軟式野球部に所属し投手。高田商高では2年秋に背番号10。3年夏は奈良大会準決勝で天理に勝利したが、決勝で智弁学園高に敗退し、準優勝。当時の最速は143キロ。佛教大では2年春にリーグ戦初登板し初勝利を挙げ、今春までにリーグ戦通算13勝。最速148キロ、変化球はスライダー、カットボール、フォーク。
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