今号から2017年に捲土重来を期す男に迫る連載がスタート。チームは初のCSに進出し、自身もピリピリとした雰囲気を肌で感じることができた。それは野球人としては1つの財産となったが、一方でどうしても胸の中でわだかまりがあったのも事実。プロ12年目を迎える石川雄洋は岐路に立たされている。 写真=BBM 予想以上に長引いた右ヒジ手術からの回復
明らかに目の色が変わっていた。「あれこれ言える立場ではないので」と置かれた状況を冷静に受け止め、石川雄洋が静かに口を開いた。
「自分自身の責任だから。とにかくもう1度、レギュラーを取りにいくことしか頭の中にはないですね」 巻き返しへの第一歩。オフは少しの休息をはさみ、横須賀・ベイスターズ球場でバットを振っている。
「シーズンの最後の最後にいい感覚をつかんだので」 DeNAとして初めて出場したクライマックスシリーズ(CS)では打率.429。「何で最後なんだろう」と苦笑しながら、このいい感覚を体に染み込ませようと必死だ。技術練習を終えると、都内で筋力トレーニングの毎日。食生活も見直し、好きだった揚げ物は衣を取り外して口に運ぶようになった。「何かを変えなきゃいけない」とこぼしたのは2016年1月だった。好不調の波。特にメンタル面の弱さを自覚し、思い切って行動した。
「つらいとき、苦しいときを乗り越える強さを身につけたい。ヒントがあるんじゃないかと思った」 15年11月には右ヒジのクリーニング手術を受けていた。痛みの原因になっていた遊離軟骨を除去。「これで不安なく戦える」と手応えをつかみ、精神強化に滝行を選んだ。気温3度、雪山での荒行。歯を食いしばり、5メートル以上の高さから落ちてくる滝に耐えた。
「本気で死ぬかと思いましたけどね。今思えば、あれをやって本当によかったです」 新監督に就任した
ラミレス監督からは「一番・二塁」で起用する方針も伝えられ、有意義なシーズンを過ごすはずだった・・・
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