きっかけが欲しかった。8年目のシーズンを前に乙坂智はメキシコのウインター・リーグに挑戦した。異文化に身を置き、夢中でプレーする中で自分の進むべき道が見えてきた。 文=阿佐智、写真=BBM、Yaquis de Obregon 2017年はポストシーズンで勝負強さを発揮。広島とのCSファイナルステージ第2戦では5回に代打で登場すると、満塁から追加点となる適時打を放った
さらなる成長を求めメキシコ行きを直訴
昨シーズンのセ・リーグCSファーストステージ、
阪神との第2戦。多くのファンの印象に残ったあの雨中戦、同点の7回に
DeNAの主砲・
筒香嘉智の勝ち越しタイムリーの後、試合を決めたのは代打・乙坂智の放ったレフトポール直撃の3ランだった。雨天中止が続けばそのまま敗退という条件の中で決行された試合の勝利で勢いづいたDeNAは、翌日の中止の後、第3戦に勝利すると、その勢いでファイナルステージも突破、1998年以来19年ぶりの日本シリーズ出場を決めた。
ポストシーズンで一躍ヒーローとなった乙坂だが、レギュラーシーズンでは、前年より出場試合数こそ増やしたものの打席数は半減、打率は2割を切った。筒香、
梶谷隆幸、
桑原将志と盤石の外野陣に割って入るためには打力のレベルアップが必要だと考えた末、決めたのはウインター・リーグへの参加だった。自らつてを頼って受け入れ先を探し、球団に直訴、日本シリーズが終わって1週間も経たないうちに乙坂はメキシコへ旅立った。レギュラーシーズン3位からの日本シリーズ出場。昨シーズン最も多く公式戦をこなしたチームの一員でありながら、オーバーホールなしのオフを選んだ。
「疲れっていうよりは、とにかく早く向こうで野球がしたかったですね。昨シーズンはあまり試合にも出ていなかったので」 乙坂が武者修行の場として選んだのは、メキシコのウインター・リーグ、「リガ・メヒカーナ・デル・パシフィコ」。ここ10年で、ウインター・リーグの雄を決めるカリビアン・シリーズ出場5カ国のうち最多の4度の優勝を誇る、人気、実力ともラテン・アメリカナンバーワンのリーグである。参加選手が、「3A級」というそのレベルの高さは、同じくここを修行の場として選んだ
楽天のプロスペクト、
オコエ瑠偉が・・・
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