入団以来3年間で一度も一軍の守備に就いたことのなかった男が今では堂々、遊撃のスタメンを張っている。一軍に食らいつくためには何が必要で、何を捨てなくてはいけないかを日々考え、成長を続けてきた結果の大抜てき。ただ、現状に満足することなく、前だけを向いている。 取材・構成=椎屋博幸、写真=毛受亮介(インタビュー)、佐藤真一、BBM 1球たりとも気が抜けない
7月27日ヤクルト戦[甲子園]のスタメン表の遊撃手の欄に2004年から12年間その座を守ってきた鳥谷敬の名前は記載されておらず、大和の名でもなかった。代わりにあった名が、北條史也。開幕一軍を勝ち取り、冷静に自分の生きる道を見出した男の光に金本知憲監督は期待し、抜てきした。北條自身は、いまだに「自信はない」というが、圧倒的な練習量でシーズン最後までショートのスタメンを張り続けている。 ――今季初めて一軍で1シーズン活躍して、疲れはありますよね。
北條 ……疲れがあるとか、言っていられないですね。ただ、ショートの先発で使ってもらい出してから、試合後の疲れは、すごいです。
――勝ったときも、負けたときも同じような疲れでしょうか。
北條 勝ったら「ああ終わったあ」という感じなんですが、負けたら、その倍以上の疲れで、あまり多くを話したくないんです。
――しかし、その感覚が味わいたくて、プロで活躍したいと思っていた。
北條 僕が思い描いていた以上の疲労感があります。勝ったらもっと爽快感があると思っていましたから(笑)。二軍とも全然違いますし。
――試合前の準備の段階から、いろいろと一軍は違うと感じていますか。
北條 ショートは守備範囲が広いので、練習をするだけでも疲れます。でも試合前になると気持ちを高ぶらせて集中しているので、疲れは感じませんが、その分試合が終わった後、ドッとくる感じです。
――その疲れを取るためにしていることはありますか。
北條 試合直後は動きたくないのでロッカーのイスに座ってジッとして・・・
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