8月9日のオリックス戦(京セラドーム)で中村剛也が満塁本塁打を放ち、肩を並べていた王貞治を抜く通算16本目の満塁弾となった。王が74年7月15日に通算13本目の満塁弾を放ち、江藤慎一の12本を抜いてから41年間も守り抜いてきた1位の座。それがついに中村によって塗り替えられた。(記録は8月11日時点) あと一歩で王の記録に追いつけなかった男たち

8月9日のオリックス戦[京セラドーム]で塚原から今シーズン31号を放った中村。これが日本記録更新となる16本目の満塁ホームランとなった
2014年シーズンを終えて、通算満塁本塁打の1位は王貞治の15本。2位は
藤井康雄と
中村紀洋の14本であり、
駒田徳広、
江藤智、
小久保裕紀の13本がこれに続いた。12本は
野村克也、江藤慎一、
井口資仁、中村剛也の4人。40年間も頂点にあった王の15本だが、挑戦しかかった選手は過去にも何人かいた。
王貞治の15満塁本塁打 藤井は王が現役を退いた80年から7年後の87年に阪急に入団。89年に2本打ったのを皮切りに、90、91、93、94年に各1本、95年には2本、98年に1本、00年に2本、01年に3本で通算14本となった。
同年9月30日の
ロッテ戦(神戸)で打った3本目は3対6で迎えた9回裏、二死満塁で打った劇的なまさに“お釣りなし”のサヨナラ満塁本塁打。あと1本に迫った藤井が王の持つ記録を更新するのは時間の問題と思われた。
現に01年も藤井は88試合に出場し、打率は.196だが、15本塁打を打っている。しかし、翌02年に53試合に出場しながら109打数18安打で.165に終わると、藤井はあっさりと現役を引退。62年7月7日生まれで40歳になる藤井は限界を知ったのかも知れない。
06年の
中日の最終戦一つ手前の10月6日、中日の中村紀は
ヤクルト戦で代打満塁本塁打を打った。通算14本目である。この年でも130試合に出場して打率.293で20本塁打、79打点の中村紀であれば、王の15本に近いうちに追いつくと期待されたが、それから7年もプレーしながらついにあと1本が打てなかった。
プロ入り初打席に満塁本塁打を打っていた駒田も通算13本目まできたが、00年を最後にユニフォームを脱いでいる。江藤智も09年限りで現役を退いた。中村紀も14年に
DeNAを最後に退団し、井口も今年5月4日の
ソフトバンク戦で2本塁打を放ったのを最後に鳴りを潜めている。
その中で中村剛は今年5月30日の
阪神戦で通算13本目の満塁本塁打を打つと、7月1日、同24日、8月9日と立て続けに打って通算16本で王を抜いた。今シーズン中に5本目を打つ可能性もある。83年8月15日生まれで32歳だから、今後どこまで記録を更新するかにも期待がかかる。
年間5本の満塁本塁打は、2リーグに分立してから1年目に
西沢道夫(中日)が打っているだけだ。西沢は21年9月生まれで当時29歳。投手から打者に転向し6年目で、前年初めて37本と、30本の大台に乗せた脂の乗り切ったときである。
史上2人目の年間5本も大いに期待できる。
中村剛也の16満塁本塁打 王が満塁本塁打を放てば巨人は負けない不敗神話
王が初めて満塁本塁打を打ったのは、プロ入り2年目の60年9月6日のこと。さらに王は15日後の21日にも2本目を打った。
王は62年から74年まで13年連続で本塁打王になったが、満塁本塁打を打ったのも当然ながらこの時期と重なる。王は75年こそ本塁打王を
田淵幸一(阪神)に譲ったが、76、77年はキングに復活。77年4月2日には3年ぶりの満塁本塁打を打ったが、あとは78年4月1日に15本目を打ったのを最後に満塁本塁打は打てなかった。翌79年も2打数0安打、80年も5打数でシングル1本だけと、再び豪快な満塁本塁打を打つことはなかった。
中村紀は現役最後の7年間に満塁弾ゼロであったが、やはり一打4点の満塁本塁打は気力旺盛のときでないと打てないのだろうか。
中村剛がプロ入り初の満塁本塁打を打ったのは・・・
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