91年の西武のチーム守備率.992は20年以上経っても更新されていない。更新寸前までは行くが、それ以上は進めないというのが実情である。記録を保持している西武は2015、16年は2年続けてパ・リーグワーストの守備率とあって91年時の名二塁手、辻発彦新監督は「ミスで勝敗が左右される。打つ方は水物であり、守りが非常に大事になる」と守り重視を掲げている。今回は日本プロ野球の守備力をあらためて見直してみよう。 
低迷する西武再建を託された辻発彦新監督[左から2人目]。自身の経験を生かしながら伝統の守り勝つ野球の復活となるか
歴史を積み重ねるごとに失策数は大幅に減少
日本プロ野球で最も顕著な向上を見せてきているのが守備面であろう。2リーグに分立した1950年当時は、内野手の一塁送球がそのままスタンド入りしてしまうことも珍しくなかった。いまはスタンドにフェンスや網が張りめぐらされボールが飛び込むことはまずなくなったが、それ以前に1試合平均の失策数は当時に比べ激減している。
50年当時の失策数はセ・リーグが553試合で合計1590失策であり、1試合平均にすると2.88個(両チーム合計)。一方のパ・リーグは420試合で1296失策で1試合当たり3.09個であった。しかし2016年は、セは429試合で448失策の1試合当たり1.04個であり、パも429試合で497失策だから1試合当たり1.16個だった。
50年に誕生した西日本は1球団だけで235失策を犯し、同じく新球団だった
広島も229、国鉄も225失策。ノンプロの選手を主体にした新球団が球界全体の守備力のレベルを落とし、この50年から55年まで、両リーグの全球団が100失策以上である。
その後、セでは100失策未満の球団がときどき出るようになったが、パでは66年に133試合で94失策の南海が初の年間2ケタ失策のチームとなった。68年の両リーグの失策数はセが401試合で609だが、パは406試合で676とパのほうが圧倒的に多かった・・・
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