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岡田彰布コラム

中日の新助っ人・ゲレーロは破壊力もあり柔らかさもある。ビシエドよりも上の存在や、それでもやはり最下位やろうなあ

 

ゲレーロ[右]の打球音を聞いてビックリ。さらに打撃を見てさらにビックリ。すごい柔軟な打撃やった。これなら日本の野球にも順応するやろうな/写真=BBM


えげつない打球音に驚いたすごい助っ人


 沖縄リポート第2弾である。前回はキャンプスタート直後だったが、今回はどのチームも実戦、実戦の日程が組まれているクールだ。試合形式で、いかに若い選手、新戦力が力を発揮できるか……。それを見極めるには格好の時期になる。それだけに楽しみいっぱいで沖縄に入ったのが2月21日。そのまま宜野座に向かって阪神を見ようかと思ったが、聞けばその日は半ドン(午前中練習のみ)だったとか。疲労などを考慮したスケジュールになっていたようなので、レンタカーの進行方向を変え、行ったのが、北谷の中日キャンプやった。

 ところが球場に着いて、グラウンドを見渡せば、森(森繁和)監督の姿がない。なんでもこの日、別の球場でファームのゲームがあり、監督はそちらに出向いていた……とのこと。新監督就任ということで、あいさつしようと思っていただけに残念ではあったが、すごいものにぶち当たった。グラウンドに降り、ちょうど山本浩二さんと打撃ケージの後ろに立ったのだが、そこでえげつない打球音に驚かされたのである。

 新外国人・ゲレーロだ。数球、フリー打撃を見たけど、これは文句なし。間違いなく打つよ。とにかくパワー、パンチ力がハンパない。同僚のビシエドを上回る迫力……。これだけでもすごいとなるのだが、この男、パワーだけの選手ではない。柔らかさのあるバッティングが魅力なわけで、これなら初めての日本野球にも戸惑わずに、対応できる。オレは即座にそう判断したわけよ。

 昨年のビシエドにもド肝を抜かれた。それは公式戦に入ってすぐに実証された。逆方向へ簡単にオーバーフェンスできるパワーとテクニックを存分に見せつけ、衝撃的なデビューになった。阪神はこのビシエドに何度、泣かされたことか……。ところが相手のマークが厳しくなり、研究されると結果が伴わなくなった。内角をビシビシと攻められ、外に逃げる変化球で料理される。新しい外国人選手が経験する壁を、ビシエドも味わったわけだが、今回のゲレーロはそこまで苦しむことはないだろう……というのが、オレの見立てである。

 先にも書いたが、軸がしっかり決まり、ブレないところがいい。選球眼もよさそうだし、変化球をうまく見極める能力が備わっていると見たわけよ。ちょうどキューバの英雄と呼ばれたリナレスがコーチとして付き添っていたけど、パワーにプラスしてテクニックもあり、これは中日にとって、非常に大きな戦力補強になったのは言うまでもない。

 このゲレーロが四番に座り、前後を平田(平田良介)、ビシエドで固めるのではないかと思うけど、これなら破壊力のあるクリーンアップの誕生となる。右打者ばかり……というのが気になるところだけど、打線は間違いなく破壊力アップ。ここにうまく左打者がかみ合えば、得点能力はアップすることになるわな。

相当な底上げがないと投手陣は低迷したまま


 ポイントはやはりバッテリーやろな。とにかく中日の泣き所は投手陣やと思う。先発、セットアッパー、クローザーを含め、投手陣全体の力が他球団に比べ、劣っている……というのが現実的な評価になっている。ここにドラフトで即戦力とされるルーキー柳(柳裕也)などが加わったけど、相当な底上げがない限り、苦しい戦いが待っていると思うな。

 それに正捕手が誰になるのか。そこもポイントやで。谷繁(谷繁元信)が兼任監督になり、ここから新しい捕手の台頭が期待されたが、思惑どおりには進まず、これが痛手になってペナントレースに反映してしまったよね。正妻が決まるか決まらないか……。同様の状況にあるのが阪神だけど、やはり捕手は重要なポジションだけに、チームにとって泣き所になる危険性をはらんでいるともいえるのだ。まあ、たった1日見ただけで、判断するのは失礼であるけど、オレはどうしても守りの部分で、中日の減点材料が見えてくるわけ。日本一早い順位予想を、この週べでやったけど、残念ながら中日は最下位……という予想になった。その根拠はやっぱりディフェンス力よ。そのことを強く感じるのです。

 オレが阪神の監督やった2004年からの5年間、セ・リーグの勢力分布は実にはっきりしていた。阪神と中日、そして巨人が常に3強時代を築き、優勝争いはホンマ、熾烈を極めた。その当時の中日は文句なしに強かったし、細かいプレーをミスなくこなせるチームやった。だからこそ、中日とやるときは神経戦というか、駆け引きを含め、読み合いやったわな。落合(落合博満)さんの心理とか、落合さんの野球を考え、そこに対応する戦術で対抗する。派手な打ち合いではなく、いつも1点を争う展開が待っていたし、ホンマ、野球をしたという疲れが出ることばかりやった。

 ミスが出たほうが負けで、ミスに乗じたほうが勝ち。そういう緊迫感が中日戦にはあった。でも、あの時代が過ぎ、中日は低迷期に入ってしまった。ベテランが去り、若手を中心にした過渡期を迎え、期待感も強かったけど、思うような成果が表われず……。チーム形態の移行の難しさを、端的に示す結果になったのが、残念でならない。

 できるならまた阪神と優勝争いを演じる中日になってほしい。また強い中日の復活を楽しみにしているのだが、まだそこまでの兆しが伝わってこない、というのがオレの率直な印象やった。

 これからあとは沖縄でキャンプを張る巨人、DeNAヤクルトを見に行ってしっかり視察したよ。もちろん阪神キャンプはじっくりと見て、という感じの沖縄のスケジュールやった。また来週でもキャンプリポートをお届けしますので、楽しみにして待っててください。(デイリースポーツ評論家)

PROFILE
おかだ・あきのぶ●1957年11月25日生まれ。大阪府出身。北陽高では1年夏の甲子園に出場し、早大では東京六大学リーグ歴代1位の打率(.379)と打点(81)をマーク。80年ドラフト1位で阪神に入団。1年目からレギュラーとして新人王を獲得。21年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した85年は五番打者としてベストナイン、ゴールデングラブ賞。94年にオリックスへ移籍し、95年限りで現役引退。通算1639試合、打率.277、247本塁打、836打点。オリックスで2年間指導の後、98年に阪神復帰。二軍監督などを経て、04年から08年まで監督を務め、05年はリーグ優勝に導いた。09年から12年はオリックスの監督として指揮を執り、13年からは野球評論家として精力的に活動している。
岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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