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岡田彰布コラム

阪神が広島を追い上げビビらせるには藤浪の今後の出来にかかっていると思うわ

 

阪神の藤浪[写真右]は、8月27日の巨人戦では負けたけど、ストレートは良かったと思うわ。今後は登板間隔を短くして元の姿に戻してあげるのもいいとオレは思うけどね/写真=桜井ひとし


残り1カ月の戦いが勝負。阪神の広島追い上げなるか


 スポーツニュースや試合実況を見るのが、楽しくて仕方ない。この夏、日本の若者たちの躍動はスゴかった。特に10代の活躍。卓球の張本(智和)選手に、女子のみうみまコンビ(平野美宇、伊藤美誠)。バドミントンでも日本勢が主役になり、現在は世界柔道よ。金メダルの阿部一二三選手のキレのある投げ技……。夜中、テレビにかじりつき、ホンマ、スカッとしたわ。やっぱり“キレ”が大事よ。オレもキレ味を磨いて、コラムを続けていこう……と思った次第。

 と、ここで考えたら、この原稿、書いているのは8月31日の午前11時。締め切りがあるので急いで書いているが、この日はサッカーの重要な戦いが待っている。勝てばワールドカップ出場が決まるオーストラリア戦。結果を書くことはできないけれど、キレ味鋭く相手陣営にキレ込んでスカッと決めてくれ!と願っている。

 いよいよ8月が終わり、9月に移る。暑さはまだまだ残るが、プロ野球、ここからがホンマの勝負よ。オレはいつも考えていた。勝率5割をキープしていたら、9月、10月で必ず勝負できる!と。要するに、ここからの1カ月少しが最重要になるということよ。

「ということで、阪神のこれから……というテーマで行きましょうか?」。ハイ、編集担当のS君からの要望である。その中で特に「藤浪(藤浪晋太郎)はどうなのか?」と強調してくれとの依頼だ。そやな、ここからは阪神の動向が注目されるわな。首位・広島を追い上げるには、いちるの望みを残し、一方で3位のDeNA、4位の巨人の追い上げにもあう。阪神がどうしのぎ、上を目指して、いかに戦っていくか。ここに焦点を当てるのは、なかなかタイムリーやと思うね。

 正直、広島に追いつき、逆転するのは難しいやろ。でも追われる立場の苦しさはある。広島はつらいと思うよ。2008年、何度も書くけど、あのときの阪神は苦しかった。それを体験した身として、広島の思いは想像できる。あのときの巨人のように、阪神がより怖さを与える戦いができるかどうか。広島をビビらせる勢いを示せるかどうかよ。それにはどうしても欠かせぬ投手がいる。それが藤浪なんよね。

 メッセンジャーが骨折で戦線を離脱した。これは大ダメージよ。エースの離脱やから、相当なマイナスよ。そういう苦しい状況の中で藤浪が復帰登板した。8月27日の巨人戦[東京ドーム]やったけど、力のあるストレートがよみがえっていたし、まずはひと安心の内容。ベンチはそう評価したと思うな。でも、オレには分からんのよ。ここまで藤浪が苦労したプロセスがどういうものか、どうにも分からんのよね。

藤浪を元の姿に戻すには登板間隔を詰めて投げさせよ


 投手はデリケート、ということは分かる。しかし、プロに入ってから5年目、ここまで自分のピッチングができなくなってしまったことが、分からんのよね。もちろん技術的な欠点があるのは間違いないし、メンタル面でも自分を追い込んでしまった様子が見受けられる。昨年7勝に終わり、プロになって初めて、不本意な成績で終わった後遺症というか、それを払しょくできず、逆に引きずっているということがあったんやろうな。そもそも、普通はこんなのないやろ、と思うもんね。

 そこで首脳陣は藤浪の二軍調整を選択したわけよ。何度も投げさせ、同じような崩れ方ばっかりやったし、首脳陣としては二軍で抜本的にやり直すことを決めたんやと思う。でも、預けられた二軍のコーチも“分からん”のやなかったか。藤浪はそれまで二軍で調整したことのない投手やし、どう修正していっていいのか、正直、分からんかった、と思うな。

 だからこういう考え方もあったのよ。それは登録を抹消しても一軍に帯同させて、その中で修正させていくという方策、これなら常に目の届くところにいる。より修正プランが明確になったのでは……とオレは考えていた。

 まあ、そういう経過をたどり、藤浪の復帰登板は2度あり、今回は手応えがあった。阪神の現状、ここで藤浪が元の姿を取り戻せるかどうかは、一番のカギになる。そこで、またオレの考えやけど、彼には投げて、投げて、元に戻る道筋を立ててやるのが、いいのではないか。そこで残り試合、藤浪の登板間隔を詰めて起用する、というプランはどうか。ブルペンで調整するより、ゲームでどんどん投げさせることが今の藤浪にはいいように思うわけよ。中4日、中5日で先発させる。それで十分、感覚と手応えをつかみ、クライマックス・シリーズに乗り込む。藤浪をどうしていくか?と問われれば、オレはこんな具体案を提示するけど、いかがなものでしょうか。

 もちろん彼の動向次第で、チームのこれからに変化が生じるやろな。とにかくチームとしては最後まで広島を追い詰めることにこだわるべきやね。上を、上を目指し、あきらめなければ、届かなかったにしろ、2位はキープできるに違いない。それには藤浪を含めた先発投手にかかってくる。リリーフがいいだけに、先発が試合を作れば、いつでも勝負になるわけやからね。

 とにかく2位は確保することよ。優勝でなければ2位も最下位も同じ……なんてのは昔のこと。クライマックスがあるわけで、2位で通過し、甲子園でファーストステージを戦う。興行的なこともあるし、本拠地甲子園で戦うアドバンテージ、これがいかに大きいかは、みんな分かっていると思う。

 これが横浜であったり、東京ドームで戦うとなれば、阪神はイヤやろ。狭い球場で戦うより、阪神はすべての面において、甲子園を味方につけること。それには2位は絶対なんやから、下を向かずに残りを戦ってくれ。これしかないわね。(デイリースポーツ評論家)

PROFILE
岡田彰布/おかだ・あきのぶ●1957年11月25日生まれ。大阪府出身。北陽高では1年夏の甲子園に出場し、早大では東京六大学リーグ歴代1位の打率(.379)と打点(81)をマーク。80年ドラフト1位で阪神に入団。1年目からレギュラーとして新人王を獲得。21年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した85年は五番打者としてベストナイン、ゴールデングラブ賞。94年にオリックスへ移籍し、95年限りで現役引退。通算1639試合、打率.277、247本塁打、836打点。オリックスで2年間指導の後、98年に阪神復帰。二軍監督などを経て、04年から08年まで監督を務め、05年はリーグ優勝に導いた。09年から12年はオリックスの監督として指揮を執り、13年からは野球評論家として精力的に活動している。
岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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