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岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「セ・リーグのキャンプ視察、今回は巨人と中日を見た。キャンプの内容は順位に直結するからBクラスやろな」

 

一塁を守るという若手有望選手の岡本だが、その期待に応えられるか……巨人の若手全体の活気のなさに疑問が残ったわ/写真=BBM


巻き返しに必死さがない巨人のキャンプはなあ……


 今、沖縄にいます。2度目の沖縄入りよ。泊りは恩納村のホテル。リゾートタイプのホテルで実に快適や。周りは海、そして近くには飲食店が多い。2003年から来ているから、なじみの店も増えた。うまいのは豚のしゃぶしゃぶ。沖縄では必ずこれを食べる。オリオンビール、そして泡盛。年に1度の楽しみよね。

 阪神のキャンプ地、宜野座まで車で20分くらいか。便利やし、ここを拠点にしていると他球団のキャンプ地に行くのにも都合がいい、ということで、今回は阪神以外のセ・リーグ球団のチェックを主な目的にした。デイリースポーツの仕事やけど、ほかのチームの練習を見るのも評論家としては大事なもの。さあ、どこを最初に見るか……ということで、やっぱり、巨人やろ。ワクワクしながら車を走らせた。

 オレはご存じのように、幼いころから阪神ファンやった。父親の影響もあり、それは筋金入りよ。ということは“アンチ巨人”なのであるが、当時はホンマ、巨人が強くてね。阪神が挑んでも、跳ね返される強さがあった。ON全盛期。長嶋(長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督)さん、王(王貞治ソフトバンク球団会長)さんがチームを引っ張り、いつも優勝、それか優勝争いをしていた。だから大阪に住んでいても、友達は巨人の帽子をかぶり、強いものへのあこがれというのが、普通やった。

 でもオレはかたくなやったで。帽子は阪神やし、野球をやるときも、ユニフォームの背番号は村山実さんの「11」よ。これも親父の影響だったけど、幼心に巨人への対抗心をムキ出しにして育った……というわけなんよね。

 巨人の強さを認めているからこそのライバル心よ。そんなことを頭に浮かべながら今の巨人のことを考えていた。ここ3年、優勝できていない。昔は考えられないことよ。常に優勝が宿命付けられてきた巨人の崩壊。これは悲しいことよ。“アンチ巨人”でも、巨人は強くないと、球界は盛り上がらない。阪神ファンの根底には、そんな思いもあるのではないか。それが優勝から遠のき、昨年はBクラスの4位よ。当然、巻き返しへ必死の巨人を想像していた。

 ところが……正直に書くけど、キャンプを見て拍子抜けしたんよね。それはグラウンドを包む空気というか、ムードなんやけど、そこに張り詰めた緊迫感というのが伝わってこないのだ。必死さとか、復権とかの意識は、必ず練習に表現されるもんよ。それが如実に表れるのがキャンプ。オレは1日のみなんやけど、巨人には残念ながら、薄いように思えてならない。

 確かに今年も補強はした。中日ゲレーロを獲得し、四番が出来上がった。これは大きいよ。東京ドームを本拠地にするのだから、昨年以上の本数が見込めるけど、ゲレーロひとりで、即優勝とはならない。重要なのは若手の突き上げ。これかもしれない。

 しかし、今の巨人にそれを望むのは苦しい。オレは巨人の再生には、フロント、現場の辛抱が必要と、以前、このコラムで書いた。未知の力を試し、どこまで我慢できるか。これを球団が認め、方針をブレさせずに貫けるか、に掛かっているのだが、それを託すに足る若手がほとんど見当たらない。

若手の躍進がない巨人。変革期で苦しみ続ける中日


 結局、ベテラン、中堅頼みになる。ここが巨人のウイークポイントなんよね。先発メンバーを予想したら、結果的にはおなじみの名前しか出てこない。ゲレーロがレフトで、マギーが三塁、二塁は吉川(吉川尚輝)という若手の名前が挙がるくらいで、昨シーズンと大きく変わった……という印象はない。

 期待されるのは岡本(岡本和真)だけど、関係者に聞けば、一塁で起用するとのこと。でも阿部(阿部慎之助)を押しのけて一塁……というわけにはいかない。シーズンで100試合を阿部で、残り40試合を岡本に……というようなプランがあるなら、その40試合、岡本が起用に応えられるかどうか。それを疑問に思ってしまうほど、若手の伸びが足りないのと違うかな。

 先に、活気がない、緊張感が伝わらないと書いたけど、これも若手の躍進のなさが原因になっていると思う。キャンプでチームを活気づけるのは若手の存在よ。オレは監督時代、キャンプの中だるみを感じたとき、あえて未知数であっても若手を呼び寄せ、刺激を与えにかかった。若い選手がハツラツと走り回り、練習に打ち込む姿は、チームの刺激になる。これは間違いない。これによって、ベテラン、中堅、そしてほかの若手の目の色が変わっていく。そう思うと、今の巨人にはその要素が少ない……と、オレはキャンプの1日をチェックして、感じたのである。

 続いて中日のキャンプも見た。時間的にズレたので、松坂(松坂大輔)のピッチングは見られず、フリー打撃を見ただけだったが、この中日も課題の得点力不足は、解消されていないように思った。ベテランから若手への変革期を迎えている苦しみが、そこに横たわっているようだし、申し訳ないけれど、評価としては下位になる。

 キャンプという1カ月の期間、漫然と練習しては身に付かない。キャンプで培ったことは、必ずシーズンに出る。そうでないとやってられないし、何のための苦しい1カ月だったのか分からない。選手はそれを信じて、つらい練習に取り組み、それがシーズンに直結したチームに結果がついてくる。それがキャンプというものなのだ。ここには書けなかったけれど、次は広島DeNA、そしてヤクルトもチェックしてくるが、巨人、中日を見た印象だけで書くと、この2球団、Bクラスになる……という予想が立った。キャンプの内容は、正直にシーズンへ反映されるモノだから……。(デイリースポーツ評論家)

PROFILE
岡田彰布/おかだ・あきのぶ●1957年11月25日生まれ。大阪府出身。北陽高では1年夏の甲子園に出場し、早大では東京六大学リーグ歴代1位の打率(.379)と打点(81)をマーク。80年ドラフト1位で阪神に入団。1年目からレギュラーとして新人王を獲得。21年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した85年は五番打者としてベストナイン、ゴールデングラブ賞。94年にオリックスへ移籍し、95年限りで現役引退。通算1639試合、打率.277、247本塁打、836打点。オリックスで2年間指導の後、98年に阪神復帰。二軍監督などを経て、04年から08年まで監督を務め、05年はリーグ優勝に導いた。09年から12年はオリックスの監督として指揮を執り、13年からは野球解説者として精力的に活動している。
岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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