高校通算55本塁打を誇る長距離砲。安田尚憲、山口航輝ら若手が着実に主力となりつつあるロッテに、また一人、将来が楽しみな逸材が、ドラフト5位で今季入団した。明るい未来へ、腕を磨く日々の意識も明確だ。 取材・構成=鶴田成秀 写真=高塩隆 
外野手/1年目/19歳
豪快な打球を放つ18歳。長打力が魅力だからこそ、その武器を生かすためにも先を急がない。自分のスイングを固めて、ボールをとらえて安打を放つ。その先にあるのが、周囲が期待する本塁打だ。理想の自分に近づくために。全体練習後も、黙々とバットを振り続けている。 ──シーズンが始まり、実戦をこなす中で意識の変化も生まれているのでは。
西川 やっぱりバッティングは変わってきています。キャンプでは実戦的な練習がほとんどなかったので、試合に出る中で気が付くこと、試すことは多いです。
──「試すこと」ですか。
西川 試すというか、「直す」ですね。
──それは技術面?
西川 はい。構えやスイングをイチから、という感じで。スイングの軌道だったり、タイミングの取り方は、キャンプとは、また違う意識で練習しています。地味なんですけど、一番、意識しているのが2つあって。1つがスイングのときの右足の使い方。もう1つが、トップからインパクトまでのスイング軌道です。
──「トップからの軌道」とは。
西川 一直線にしたいんです。構えたところからインパクトまで。自分はトップから一回バットが下がってインパクトに向かっていってしまうんです。L字の軌道なんですよね。最短距離、直線にバットを出していきたいんです。
──プロの投手の速球に対応するため?
西川 それもありますし、打率を上げるためでもあります。スイングの軌道が正しければ、バットの芯に当たらなくても、ヒットになることもあると思うんです。
──西川選手の魅力は長打力でもありますが、意識するのは打率、と。
西川 どんな形でもいいので、まずヒットを打ちたいんです。ヒットを打つことで「こうやれば打てる」という形というか、方向性が見えてくるのかな、と。それを見つけたいんです。
──“ヒント”は見えてきましたか。
西川 ここ最近、ようやく一発で右足を返すというか、回すことができるようになったんです。軸足でしっかり(体が)回ってスイングすることで、しっかり力が伝えられるというか。先ほど言った「意識していること」の1つなのですが、この形が大事なんだな、と。ムダな動きしないで、トップからインパクトまで一直線でバットを出し、スムーズに体を回転させる。そうすれば力も伝わるし、コンタクト率も上がっていくと思うんです。
──その考えは自分で見つけたこと?
西川 福浦(
福浦和也)コーチ、堀(
堀幸一)コーチといろんな話をして、その上で、自分で考えて見つけた考えです。
──現在の28三振も、フォームを試行錯誤しているからこそなのですね。
西川 でも「見逃し三振」はダメです。「空振り三振」なら次に生かせることもあるので気にしていません。ただ、空振り三振でも、2ストライクまで手を出さないで、最後にボール球に手を出しての空振り三振はダメだと思っています。何の意味もない打席になる。それは減らしたい。三振1つにしても、そこまでの内容、三振の仕方が大事だと思っています。
「まだ不安なんです」

4月8日のイースタン・巨人戦[ジャイアンツ]で初本塁打を放ったが……
──課題ばかりではなく、イースタンで本塁打を放っています。
西川 あのホームランは今後につながる1本ではないというか。「なんか当たったな」という感じで、手応えはないんです。収穫があった打席を強いて言うなら、(5月15日の)ジャイアンツ戦でレフト線に打ったツーベース。バットの出方が良くてスライダーをとらえられた。しっかりボールを拾えた感覚だったんです。
──やはり内容重視なのですね。では、自らの理想も、高打率の打者なのですか。
西川 う〜ん、今は打率3割、30本塁打、打点も100近く稼げるバッターになりたいと思っています。そのために今、どんなボールにも対応できるようになることだと思っているんです。
──率が上がることで本塁打も増えていき、打点も稼げる、と。
西川 はい。ヒットを狙った延長でホームランになる。それが理想。ホームランを打ちたい気持ちも強いですけど、そこを何とか抑えて、まずは打率を上げること。ヒットだったりツーベースだったりを増やしていきたい。ホームランはヒットが打てるようになってからです。
──出場はなかったものの、3月の一軍のオープン戦ではZOZOマリンでベンチ入り。あの舞台への思いも強いのでは。
西川 いや、まだ不安なんです。球場の雰囲気がすごくて、自分はあのバッターボックスで打てるのかな、と。マリンの打席に立つ楽しみもありますけど、今はまだ不安のほうが大きいんです。
──その不安が向上心の源なのですね。
西川 はい。マリンのバッターボックスに立つときは、完璧に打てる準備をしてから。一軍に呼ばれたときは、不安がないように、バットを振っていきます。
西川僚祐 PERSONAL DATA
【PROFILE】 ■
西川僚祐(にしかわ・りょうすけ)
■2002年4月19日生まれ
■186cm/98kg
■右投右打
■千葉県出身
■東海大相模高-ロッテ21[5]
中学時代は佐倉シニアでプレーし、3年時にはジャイアンツカップ決勝で東京ドーム右翼席へ本塁打を放つなど、長打力は抜群。東海大相模高でも55本塁打を記録し、飛ばす力は群を抜く。今春二軍キャンプでのフリー打撃に
井口資仁監督が視察に訪れた。将来のクリーンアップ候補なのは、言うまでもない。
【2021年イースタン打撃成績】(6月6日現在) 31試合出場、7安打1本塁打3打点、打率.117
【打席での心構え】 強いスイングを貫く
【最大の目標】 日本を代表するバッター