25人。昨季シーズン開幕後に支配下昇格をつかんだ育成選手の総数だ。大卒で育成入団。2年目の今季はなんとしても2ケタ背番号を手にしたい。焦りはある。課題もたくさんある。だが、確かな成長も実感している。努力あるのみ。「うまくなりたい」を突き詰めた先に待つ未来を信じて。 取材・構成=阿部ちはる 写真=兼村竜介、BBM レベルアップのために選んだ地は台湾だった。「このまま日本でやっても成長は知れてるなと思ったので」。名古屋産大1年時に国立台湾体育運動大へ留学し、2022年秋に楽天から育成4位で指名を受けた。入団2年目の永田颯太郎は今季、ファームで主軸を担う活躍を見せるなど急成長を見せている。支配下登録へ向け課題克服に励む日々だ。 ──一時は四番を務めるなど打撃での成長が見られます。今季ここまでの自己評価はいかがですか。
永田 打撃はアピールするべきところだと思っているので、そこを評価してもらって主軸で打たせてもらっているのは本当にうれしいことというか、感謝しています。僕は毎日やることを変えずに、自分のやるべきことをしっかり毎日コツコツやっているという感じです。
──打席では何を一番意識しているのでしょうか。
永田 試合に入ったら対ピッチャーなので、「このピッチャーに対してどういう打ち方をしようかな」とか、「自分がやりたいことを曖昧にしない」とか、そういったことを試合前にしっかり決めて、準備して自分の打席を迎えるようにしています。
──春季キャンプでは打撃フォームの改良にも取り組んでいました。
永田 1月の自主トレを母校の台湾で行っていたのですが、そこで元
阪神の
林威助さんに打撃面でアドバイスをいただき、打撃改造に取り組みました。
──具体的にどういったところを変えたのでしょうか。
永田 最初にトップの位置について指摘されました。僕はもともとトップが頭から離れた位置にあったのですが、それだとバットを出す際に(動きが)大きくなるというか、無駄な動作が増えるので、少しバットを寝かせて構えるようにしました。そうすることでバットを出すときの動作がシンプルになるんです。ヘッドが頭の後ろにある状態から真っすぐに出すイメージですね。その感覚が良かったので続けてみようと思い、シーズンに入ってからも継続しています。
──それが今年の成績につながっているのですね。特にインコースのさばき方には目を見張るものがあります。
永田 トップの位置を変えたことで、トップが高くなり、インコースもさばけるようになったかなとは思います。
──ただ、打撃面では調子の波が目立ちます。その課題克服に向けてどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
永田 自分の思ったようにいった打席が増えてはいるのですが、それでもアウトになったり後悔する打席がまだまだあるので、そこをつぶしていけたらより良くなるのかなと思います。
──後悔する打席とは?
永田 自分が思っていた球を仕留めきれなかったときや思ってない球が来たときに振ってしまったり、当てに行ってしまったりが多いですね。あとは自分のスイングができなかったときはやはり悔しいですね。そういった打席を減らしていくことが大事になってくると感じています。

今季ファーム開幕戦で4安打の好発進も4月下旬に急降下。打撃は安定感も課題となる
タイトルを狙える選手に
──昨季は二軍で58試合に出場しました。プロ野球選手として初めて1年間を過ごす中で何を一番学びましたか。
永田 やはり守備ですね。僕は高校3年からショートを始めたのですが、大学では「自分たちで考えて取り組む」という教育方針だったこともあり、あまり守備を教えてもらってこなかったんです。プロに入って一から……バウンドの合わせ方や構えなど本当に基礎から学びました。
──ショートは技術面の難しさだけではなく、センターラインとしてチームをまとめる役割や声掛け、作戦面など考えることも多いポジションです。
永田 本当にショートは難しいですね(苦笑)。ですが、やはりショートが試合を支配するというか、ショートがうまければ、そのチームは強いというイメージもあるので。やはりショートは華があってカッコいいので、今後もショートのレギュラーを目指してやっていきたいなという思いはあります。
──大学時代を過ごした台湾で一番学んだこととは?
永田 たくさんありますが、一番はどんなにきつくても、言葉が分からなくても、一生懸命やっていたら見てる人は見ているし、認めてくれる人は認めてくれるんだということですね。だから誰にどう思われようが、自分は一生懸命やるだけだとあらためて思いました。高校のときからそういった思いはありましたが、さらに強く思いましたね。
──楽天入団で4年ぶりに日本で生活することになりました。さらに野球に集中する環境になりましたが、日本で野球をすることをどのように感じていますか。
永田 野球はどこに行っても野球だなということは感じています。僕は努力をして野球がうまくなることだけを考えているので、それは台湾でも日本でも同じですね。
──今後どういった選手になっていきたいと思い描いていますか。
永田 ショートを守れて、主軸を打てて、タイトルを狙えるような選手を目指していきたいです。
──そのタイトルとは?
永田 首位打者とゴールデン・グラブ賞を獲れるような選手になりたいなと思っています。
──そのために克服すべき課題を教えてください。
永田 まだまだ率が低いので、思っているところに打球を飛ばせる技術や、追い込まれてからもファウルにする技術などが必要になると感じています。まだまだ足りないところは多いですね。
──今季は支配下登録も目標の一つになると思いますが、そのためには何が必要になると考えていますか。
永田 やはり守備もバッティングもまだまだだと思いますし、チャンスでのバッティングや均衡した場面での守備、1試合を戦い抜くということも含めたメンタルの部分が課題です。あとは経験もまだまだ浅いので。焦らないといけませんが、まずは1試合1試合、1日1日しっかり少しずつでも成長して、少しでも早く支配下になれるように頑張ります。
──今年の目標を聞かせてください。
永田 二軍で打率.350を打てるようにと
雄平コーチにも言われているので、そこを目標にしてやっていきたいと思いますし、先ほど言った課題を全部クリアするぐらいの勢いでやっていきます。僕は元気を出してハツラツとプレーするのがスタイル。うまくなるには努力しかないと思っているので、そういった部分をアピールして支配下になりたいです!
アレコレQ&A
Q. ココに注目! 誰にも負けない強みは? A. 目標に向かって努力することはこれまでもやってきましたし、これからも続けていきます。プレー面ではバットコントロールですね。たくさん練習していますし自信があります。プロに入ってさらに磨きをかけているところです。
Q. 名前の由来は? A.風にも負けない強い子に 僕には姉や妹がいるのですが、全員「風」の字が入っているんです。僕も「立」に「風」で颯。『雨ニモマケズ』(著/宮沢賢治)の一節、「風ニモマケズ」から「風にも負けない強い子に育ってほしい」という思いでつけてくれたそうです。あとは父が男には絶対に「太郎」をつけたいと思っていたそうです。
Q. 仙台に来てよかったことは? A.牛タンがおいしい! 春季キャンプから帰ってきたら「牛タンが食べたい」と思いました(笑)。仙台に来るまでは、厚い牛タンを食べたことがなかったんです。本当においしいです。
Q. 台湾での一番の思い出は? A.大学の最後の大会で優勝 日本でいう全日本大学選手権のような大会で連覇を果たしました。そのときにはプロに行くことが決まっていたので、みんなとできる最後の野球で優勝できたことは一番の思い出ですね。
<周囲の声>雄平(二軍打撃コーチ)から見た期待感と可能性

雄平
「基本的にはアベレージタイプ。逆方向のバッティングとか、器用さがすごくある選手です。そこの長所や引き出しをどんどん増やしていくことと、うまくいけば中距離ヒッターにもなれるので、強く振る力もつけていきたい。今はその両方を同時進行でやっているところです。2ストライク後のバッティングやピッチャーへの対応力など細かい話もたくさんしています。意欲的な選手で一生懸命やるし、積極的に考えられる選手。成長していく可能性がすごくある選手なので、今後が楽しみです。いつかは首位打者を獲れるような選手になってほしいですね」
【2024年イースタン投手成績】(5月20日時点) 40試合、打率.188、21安打、0本塁打、9打点、0盗塁
PROFILE ながた・そうたろう●2000年10月11日生まれ。178cm85kg。右投左打。愛知県出身。菊華高-国立台湾体育運動大-楽天23育[4]。