健大高崎高2年春のセンバツでエースとして全国優勝に導いた。同夏、左肘のトミー・ジョン手術を受けて1年後、夏の甲子園で奇跡の復活。高卒プロ入りの夢をかなえ2026年にドラフト3位でオリックスに入団したルーキー左腕は、プロの世界で進化を続けている。 取材・構成=中野聖己 写真=球団提供、BBM 
オリックス・佐藤龍月[投手/1年目/19歳]
9月3日時点で公式戦5試合、8イニングに登板して無失点。入団1年目、新たな取り組みを繰り返しながら、ポテンシャルを磨いて確かな成長の跡を残している。気配りのできる受け答えも19歳とは思えぬほど。冷静に自己分析しつつ、将来像をしっかり描く頼もしいルーキーだ。 ──入団1年目、まずはここまでを振り返って率直な感想を教えてください。
佐藤 (高校2年時に)手術も経験して、感覚的にはまだ、僕が思っていたようなベストな状態ではないんですけど、ファームではまだ無失点で、結果としては思っていたより出ているので、内容をもう少し詰めていきたいと思っています。
──公式戦無失点は手応えを感じる結果ですね。トミー・ジョン手術の影響はもう大丈夫ですか。
佐藤 はい。今月で手術から2年が経ちますけど、違和感がなくなったのは本当にここ最近ですね。1、2カ月前ぐらいまでは痛みとかではなく……言葉では難しいんですけど、やっと何も気にせずに投げられるようになりました。
──手術後わずか1年後の甲子園で投げられたことが奇跡ですね。あのときも違和感はあったのですか。
佐藤 そういう感覚があったら絶対に投げないと決めていたので、違和感とか痛みはなかったんですけど、なんかうまくいかない、本来の僕の持っているものではないなという感覚はありました。
──高校生で手術の決断をするのは容易なことではなかったと思います。
佐藤 周りの方に支えていただきました。手術をやらなくても時間が経てば投げられたんですけど、また痛みを再発してしまう。それが嫌だと思って、監督さんや親にも、自分の判断でいいと言ってもらったので、最終的に自分で決めました。
──スライダーを解禁したのはプロ入り後ですか。
佐藤 最後の夏の甲子園でも投げていましたけど、スライダーの感覚は今でも戻っていないですね。そこは多分、球数を投げないといけないんですけど、肘への負担が大きい球種なので、どうしても今はちょっと怖いし、難しいですね。
──肘への負担も考えてインステップするフォームを変えた部分はありますか。
佐藤 小林(
小林宏)コーチと一緒に、キャッチャーの方向にしっかり自分の力を伝えることを意識してやっています。高校時代は足を上げるときから体の軸がぶれてインステップすることで力が逃げてしまっていたので。自然に直った感じですけど、僕の場合、本当は少しインステップするくらいのほうが投げやすいところもあります。今まではインステップし過ぎていたので、方向を意識したらいい感じになりました。真っすぐを意識しながらも多少ナチュラルにインステップするぐらいがちょうどいいのかなと思います。
──インステップすることで体のためをつくることもできる?
佐藤 どうしても足が開くと、体も一緒についていってしまうんです。少し足の開きを抑えたほうが・・・
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