PKの成功率ってどれくらい?
少し古い話になってしまいますが、リオ五輪で日本勢は史上最多の41個のメダル獲得と素晴らしい活躍を見せてくれましたね。これまでは五輪を見た記憶があまりなかったんですが、今回は意外と目にする機会が多かったです。特に団体で男子が銀メダル、女子が銅メダルを獲得するなど奮闘した卓球には引き込まれました。野球のプレーに結びつくような発見は……特になかったですけど、野球というスポーツとの相違点はいろいろと考えました。

リオ五輪では卓球に引き込まれた/写真=Getty Images
例えば野球はどんなに劣勢でも、攻撃の回数が決められているじゃないですか。基本的に9イニング、27個のアウトを相手に与えるまで攻めることができる。失敗(アウトになる)する間に、相手より多く得点を奪うことを競い合うのが野球。でも、例えば卓球やバドミン
トン、バレーボールなどは、決められた点数を取れば勝利を得られるというスポーツ。野球とは違い、自分がどんな状況に陥っても既定の点数にたどり着くまで戦わなければいけない。そういったスポーツをプレーしている選手が、どういった精神状態に置かれているのか非常に気になりましたね。
それに野球と同じく相手より得点を多く奪うことを目的としていても、サッカーやバスケットボールといった“ゴール形式”のスポーツは試合時間が決まっていて、それに縛られるじゃないですか。だから、やっぱり野球は特異なスポーツなんだと、あらためて思いますね。
あと例えばあるスポーツのあるプレーは、野球で言えばどのプレーと似たようなものか、と考えることもあります。野球は打者対投手など1対1の勝負になることもある。サッカーでもPKが1対1となりますが、3割の成功でOKとされるバッティングとは違うのは間違いない。PKの成功率って、一体どれくらいなんでしょうか。当然、打率と同じく3割で一流と言われるわけはない。やっぱりPKを外したら、テレビのニュースでもよく流れるような気がしますし、ということはやっぱりレア感はあるんでしょう。本当に、打撃のほかにも10回のうち7回失敗できてもよしとされるスポーツのプレーってあるんですかね。とはいえ、僕は毎打席ヒットを打つ気でいますし、打率に表れない四球や進塁打など得点につながる結果もあります。それも野球の面白さでしょう。
プレッシャーは誰しもが感じる
日本代表の選手には日の丸を背負うプレッシャーはあったと思います。ただ、大小の差はあるでしょうけど、サラリーマンの方もプレッシャーを抱えているのは間違いありません。プロ野球選手は勝敗がかかっていて、強いプレッシャーを感じられる場面などが目の前で見えて分かりやすいでしょうが、一般の方で言えば例えば何かの商品を売ること。それが会社の業績につながるでしょうが、利益が多く出るほど売ることは簡単ではない。そこにプレッシャーはかかってくるでしょう。
プレッシャーを克服するには、いろいろな経験を積んで、場数を踏むことが大事。まったく同じ状況はあり得ないのですが、必ず近いシチュエーションになることはありますから。緊張感が高まる場面でも引き出しからしまっておいた「経験」を取り出す。そうすれば落ち着くこともでき、プレッシャーに打ち勝てる確率は高くなるでしょう。
でも、あらためて思いますけど、野球をプレーして感じるプレッシャーは誰しもが味わえることではない。当然、苦しくて、怖いこともありますよ。球場に詰めかけた多くのファンの前でミスしたり、凡退したりする怖さ。イラ立ちが顔をのぞかせることもあります。だけど、それも貴重な経験であるので、非常にありがたいことだなとも感じます。
野球を職業としていて、「プレーすることが楽しいか?」と聞かれたら素直に首をタテに振ることはできません。それでお金をいただいて、責任感もありますから。楽しさはすごく少ないかもしれない。でも、逆にそれがいいのではないかとも思います。やっぱり、9対1で苦しいですよ。楽しさは1。だけど、楽しいことばかりだったら、やりがいを感じない可能性がある。結局、楽しさに満ちあふれているのは、悩みがないということじゃないですか。ヒット1本を打つ重みも薄れてしまうように感じます。壁があって、苦しさを乗り越えて、結果を出したほうが納得感はある。いろいろなことにしっかり取り組まないといけないという気持ちにもなるでしょうから。

9月8日には第二子が誕生、これも発奮材料とし、最後まで全力でプレーしたい/写真=桜井ひとし
とにかく、残り試合も少なくなってきましたが、最後まで力を尽くして戦いたいです。打率も2割9分9厘と3割超えでは説得力も違ってくるでしょうから。気を抜かずに頑張っていきます。
読者からのQUESTION! Q.「今季、野球に対して新たな発見はありましたか?」(群馬県・かりん) A.「そのあたりはまだ……」 まだシーズン途中ですからね。そのあたりはまだ分かりません。苦手にしていた
オリックスの松葉から1試合3安打した?でも、そのあとリリーフで対戦したときは抑えられましたから。あのあとポンポンと打てればまた違ったでしょう。
ソフトバンクの武田相手の連敗も「11」で止めましたけど、そのあとの対戦でまたやられて。続けて攻略すれば“まぐれ感”が出ない。武田に「負けたときは単に調子が悪かったんだな」と思わせてしまう可能性がある。苦手な相手を1回だけでなく、その次もなぎ倒すことは非常に重要なんです。
当連載の著者、秋山翔吾選手への質問を募集します。上記のリンクからお寄せください PROFILE あきやま・しょうご●1988年4月16日生まれ。神奈川県出身。183cm85kg。右投左打。横浜創学館高から八戸大を経て11年ドラフト3位で
西武に入団。プロ3年目にフルイニング出場を果たし頭角を現すと、昨季はシーズン最多の216安打を放ち、打率・359をマーク。侍ジャパンの一員としてプレミア12にも出場した。主なタイトルは最多安打(15年)、ベストナイン(15年)、ゴールデン・グラブ(13、15年)。