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デーブ大久保コラム

肩、ヒジが痛くなければ、制球難を克服することは十分可能なんです

 

投手の制球難に関しての克服法は、肩やヒジに故障がなければ、それだけでいいという考え方もあります。首脳陣もそれくらいの大きな気持ちでイップスなどの選手たちに接するのも必要かもしれません/写真=BBM


「気にせずに、打てば大丈夫ですよ。バンカーから出せばいいだけですよ」と私がバンカーイップスのとき、よく言われました。でも、イップスはそんな簡単なことではないですよね。やはりそこは練習で克服していくか、前回お話したように、違う打ち方やゴルフクラブの握り方をして何か変化を与えるしかないですね。野球の場合は、投げ方を変えて、もともとの投げていた軌道までも変えることが必要です。

 西武時代、後輩の捕手が突然、ブルペンで、返球ボールが手から離れなくなりイップスに。返球がなかなかできなくて号泣しているのを見ました。知り合いのブルペン捕手は、大物投手のボールをブルペンで受けているときに、いきなり大暴投してイップスが始まったそうです。このときは、その大物投手が怒ったりしたから、ということはなかったそうで、急に緊張してしまったようです。ある捕手は、返球をする途中、ボールを離す瞬間に、動作がストップしてしまう。何回やろうとしても、体が動かない。周りもその様子をかたずをのんで見ていました。その選手は、捕手をあきらめ内野手にコンバートされました。

 野球では投げるほうだけでイップスになるのですが、前回お話しましたが、手首が固まってしまうからなので、投手ならスライダーなど手首を捻る動作を繰り返したりすることも効果的です。野手などは、ボールを地面にたたきつける練習を繰り返すことも、イップス克服にはいい練習だとも言われています。

 実はプロ野球界、意外にイップスを経験している選手は多いですし、克服している選手もたくさんいます。しかし、はっきり言えることは、精神力が弱いからだとか、ということではないんです。競争の激しく、精神的に厳しい世界であるプロ野球界では誰しもなってしまうものなんです。ただ、几帳面な人ほどなりやすい、とは言われていますね。

 あとは結構無理な話だとは思いますが、自分のイップスを、自分自身でどのように克服していくのか、その過程を楽しむことも、いい克服法になっていくかもしれません。まあ、それができる性格なら、イップスにはなっていないでしょうからね。今のは参考にしないでください。では首脳陣としては、どう接すればいいのか……。非常に難しい問題ですよね。例えば、制球難に陥った投手に対しては、私ならこう言いますね。

「制球難だけでよかったと思うよ。もし肩やヒジなどの故障だったら1年間離脱しなければいけない。肩もヒジも問題なければ、そこだけに集中できるから、今年中に治すことができるじゃないか」

 首脳陣はそのくらいの大きな気持ちで接するのがいいかもしれないですし、精神的に追い詰めるような発言はしないほうがいいですよね。どう考えても、投手の生命線は肩とヒジ。ここが元気なら、イップスも制球難も克服可能だと思います。

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。
デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

元楽天監督、現解説者の「デーブ」こと大久保博元氏の連載コラム。

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