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立浪和義のコラム

巨人巻き返しのカギは……

 

得点パターンが1つ


 交流戦で巨人が地獄を見ました。

 投打がまったくかみ合わず、球団史上最多の13連敗。今年は連敗するチームが多い印象がありますが、菅野智之マイコラス、さらに田口麗斗と計算できる先発が3人いる巨人が、ここまで大きな連敗をするとは思いませんでした。特に菅野ですね。序盤からあれだけ素晴らしいピッチングを続けてきた男が5月30日の楽天戦で8失点、6月6日の西武戦で5失点。リーグトップだった防御率1.58が2.69まで落ちてしまいました。

 打線の得点力不足も深刻でした。巨人は開幕から阿部慎之助坂本勇人、C.マギーで点を取っていましたが、けん引車でもある阿部が調子を落とし、マギーのバットもやや湿りがちとあって、坂本しか得点源がいなくなってしまいました。警戒する場所が1カ所となれば、相手チームも楽ですよね。チーム打率は.323の坂本、.308のマギーがいながらリーグ最下位の.237とつながりの悪さを数字が裏付けています。かつ自慢の長打力も今年はまったく振るわずにチームホームランも32本でリーグトップの広島61本の半分ほどしかなく、184得点は最下位です。

 この低迷を不振の阿部だけの責任にはできません。というより、彼のようなベテランが1年を通し、好調を維持するのは簡単ではありません。一、二番や下位打線からの得点パターンがあるのが強いチームの条件だと思いますが、巨人にはそれがまったくなかった。故障者、不振者の穴を埋める救世主的な若手が登場していません。昔から言われることですが、大型補強が続いた中で若手が育っていないことをあらためて感じさせます。

先発陣のプラス1


 その巨人が6月13日、久々にいい形で勝利しました。交流戦好調のソフトバンクに対し、菅野が1失点完投。お立ち台では涙も浮かべていましたから、その前の2試合は本当に悔しかったのでしょう。打ってはホームランこそありませんでしたが、坂本が2打点、八番の小林誠司もタイムリー。ようやく一軍に上がってきたFA組の陽岱鋼が一番に入った打線には、連敗中には感じられなかった迫力が少しですが、戻ってきた気がします。

6月13日のソフトバンク戦[東京ドーム]で力投を見せ、勝利投手となった菅野


 ただ、これから、ふたたび上位に上がっていくためには、一にも二にも先発投手の整備です。野球は先発が7、8割を占めるスポーツです。交流戦前の巨人は菅野、マイコラス、田口が好調を維持したことで、打線が振るわない中でも、なんとか借金1の3位に踏みとどまっていました。その意味では菅野の復活は、高橋由伸監督にとっても好材料ですが、まずはその地点に戻っただけ。さらに上にと考えれば、14日ソフトバンク戦登板で、素晴らしいピッチングをした山口俊がどこまでやるかでしょうね。首位広島とはゲーム差こそ離れてしまいましたが、いまはCSもあります。

 FA組3人がようやく出そろった巨人。交流戦明けから、どこまで巻き返すか注目です。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。
立浪和義の「超野球論」

立浪和義の「超野球論」

そのときどきで気になった選手や試合、さらに、私が感じたポイントについて書いていきたいと思います。野球をより深く知りたいという方、また、もっともっと野球がうまくなりたいという中学、高校生のみなさんにも参考になる連載になればと思っています。

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