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立浪和義のコラム

立浪和義コラム「エース対決の勝負を決めた2回の攻め」

 

一発に泣いた巨人・菅野[写真=榎本郁也]


圧巻だった千賀の球の強さ


 最初にお断りしておきます。この号の発売までに日本シリーズは3試合を消化しているはずですが、今回は締め切りの都合上、第1戦の結果しか分かりません。その時点の話として読んでいただければと思います。

 新型コロナの影響で東京ドームではなく、巨人が本拠地として京セラドームを使っての第1戦が11月21日に行われました。先発は巨人が菅野智之選手、ソフトバンク千賀滉大選手と、ともに各リーグで最多勝のタイトルも獲得しているエース対決になりました。

 目立ったのは、千賀選手の真っすぐの速さ、強さですね。“お化けフォーク”とも言われる、落差の大きなフォークを持っているピッチャーですが、この試合は150キロ台後半の真っすぐが素晴らしかった。多少、コントロールが甘くなるときはありましたが、あの球威があると、バッターはなかなかとらえられません。分かっていても打てない真っすぐというのは、今の球界の先発投手では千賀選手くらいかもしれません。はっきり言えば、力が違うという印象でした。次の登板があるとしたら第6戦以降になるのでしょうが、エラーなどが絡まない限り、攻略が難しいレベルのピッチャーになっていると思います。

 菅野選手もやや力んだのか、球が高い印象はありましたが、それほど悪くなかったと思います。結果的には、2回の栗原陵矢選手の2ランがすべてですね。菅野選手は、栗原選手にタイムリーを含め、3安打されていますが、この一発がなければ、その後の展開も変わっていたと思います。

菅野は第2戦でもよかった


 あの打席については、巨人バッテリーの攻め方に多少疑問があります。無死走者一塁で栗原選手の打席でしたが、もともとインコースに強い、引っ張り系のバッターというのはデータにもあったと思います。若さもあって「追い込まれるまでは、思い切って引っ張る!」と思っての打席だったはずです。

 しかし、バッテリーは内角へのカットボール、スライダーでの攻めを選択し、カウント2ボール0ストライクになってからの3球目、甘くなった球をホームランされてしまいました。おそらく、インサイドで追い込んでから外にツーシームかフォークという考えだったのかもしれませんが、ここは丁寧に外中心に投げ、ツーシーム系でゲッツー、悪くてもレフト前ヒットと考えるべきシーンだったのかなと思います。若い栗原選手に勢いをつけてしまった一打でもあり、菅野選手も後悔が残ったと思います。

 今回の日本シリーズ前、あくまで私個人の考えですが、巨人は、1戦目での菅野選手と千賀選手との投げ合いは避けてもよかったかと思っていました。私自身、日本シリーズを戦った経験の中で、1戦目の重要性は分かっています。今回は前年の0勝4敗も考え、1戦目はどうしても欲しいという考えもあったでしょう。ただ、2戦目に菅野選手を回し、悪くて1勝1敗もありと考えたほうが少し楽に戦えるかなと思っていました。

 もちろん、これは「たら・れば」に過ぎず、1戦目、千賀選手を攻略し、菅野選手で勝てれば、間違いなく、巨人には勢いがついたと思います。ただ、逆に力負けしたことで、昨年の0勝4敗がさらに重くなったように感じました。

 冒頭でも書いたように、今回は第1戦が終わったばかりなので最新情報は分かりませんが、巨人が日本一になるには、続く2戦目に勝利し、この雰囲気を変えることが重要です。負けてしまうと、ズルズルいってしまう可能性もあるかなと思っています。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。
立浪和義の「超野球論」

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そのときどきで気になった選手や試合、さらに、私が感じたポイントについて書いていきたいと思います。野球をより深く知りたいという方、また、もっともっと野球がうまくなりたいという中学、高校生のみなさんにも参考になる連載になればと思っています。

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