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立浪和義のコラム

立浪和義コラム「阪神の四番・大山悠輔選手の飛躍の理由」

 

急成長を見せた大山


難しいタイミングの取り方


 2020年のセ・リーグは、生きのいい若き四番打者が打撃タイトル争いを繰り広げました。

 巨人岡本和真選手(24歳)、ヤクルト村上宗隆選手(20歳)、DeNA佐野恵太選手(26歳)、そして阪神大山悠輔選手(26歳)。すっかり貫録のついた広島鈴木誠也選手も、実は、まだ大山選手、佐野選手と同じ26歳です。早くこの中に中日の日本人選手が加わるよう、私も臨時コーチとして参加する春季キャンプでは、できる限りのことをしていきたいと思っています。

 この中で開幕時は四番どころかスタメンから外れることも多かったのが大山選手です。19年、プロ3年目で四番に抜てきされましたが、打率.258、14本塁打、76打点と振るわず、チャンスでの弱さも感じました。それが20年は120試合制ながら.288、28本塁打、85打点と見違えるような結果を残しています。

 プロ入り当時から、バットをしっかりと振れる選手でしたが、見ていて、ずっと思っていたのは、難しいタイミングの取り方をしているな、ということです。

 独特の待ち方をする選手で、右打ちで左足を大きく上げるのですが、その際、手をあまり引かずに一緒のタイミングで上げ、そのまま下げて振る。ボールを呼び込む間(ま)がほとんどないので、1つのタイミングでしか打てないタイプでした。そのツボに来たときはほれぼれするような強い打球を打ち返すのですが、少しでも崩されると対応できず、上体のみで球を当てにいったり、差し込まれたり、泳がされたりしていました。19年に四番に抜てきされてからは特に、失敗を恐れてか、右方向を意識し過ぎ、よりスイングが小さくなっていた印象もあります

間ができるように


 2020年に関しても、最初は同じようなスイングでしたが、途中から自分で気づいて変えたのか、アドバイスがあったのかは分かりませんが、手をそのまま上げるのではなく、後ろに引くようにしてトップをつくるようになりました。これによって間がつくれるようになり、ボールをしっかり呼び込んでから強くたたくことができるようになりました。

 本人も「早めに準備し、ゆったり待つようにした」と言っていたようですが、皆さんが見ていても分かるくらい、昨年と比べ、ゆったり大きな構えになっていたと思います。これによって上半身と下半身が連動した力強いスイングとなり、打率も上がり、ホームランも増えたのだと思います。

 なかなかシーズン中に調整は難しいのですが、うまく修正し、しかも結果も出ました。大山選手にとっても大きな自信になった1年だと思います。もちろん、相手投手も黙って見ているわけではなく、21年は研究され、いかに崩すかいろいろと仕掛けてくると思いますが、それを跳ね返すだけの力はある選手だと思います。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。
立浪和義の「超野球論」

立浪和義の「超野球論」

そのときどきで気になった選手や試合、さらに、私が感じたポイントについて書いていきたいと思います。野球をより深く知りたいという方、また、もっともっと野球がうまくなりたいという中学、高校生のみなさんにも参考になる連載になればと思っています。

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