
本番までにチーム状態をどう上向かせるか。小久保裕紀監督の手腕が試される
2月23日から宮崎でWBC前恒例の強化合宿を行った侍ジャパンは、1試合の練習試合を経て、福岡へと移動した。この後、壮行試合、強化試合を計4試合行い、3月7日のキューバとの開幕戦を迎えるのだが、過去2度の反省を踏まえ、今回の強化合宿では2つの改革が行われている。
代表合宿スタートを過去2大会よりも約1週間遅らせ、合宿期間を4日間(2009、13年ともに7日間)と短縮した点、強化合宿を選考の場とせず、登録28選手のみで行った点の2点だ。
結論を出すには時期尚早だが、現状、小久保裕紀侍ジャパン代表監督の思惑どおりに事は進んでいない。
集合日を遅らせた狙いは個人調整を所属球団で行い、代表では実戦での微調整に重きを置くため。事実、強化合宿初日、2日目で投内連係・サインプレーなどの確認作業を行ったあと、3日目には
ソフトバンクとの練習試合を行なっている(0対2で完封負け)。
選手たちも状態の上がらない一部選手を除き、所属球団でき得る最大限の準備を終えてきた。とはいえ、3月31日の開幕に合わせて調整を行う、代表選手とはペースの異なる所属球団でキャンプを過ごすのでは、限界もある。

2月28日、台湾リーグ選抜との日本代表壮行試合では投手陣が17安打を浴びて5対8で敗戦
福岡移動後の28日に行われたCPBL選抜チームとの壮行試合では、指揮官が「日本のストロングポイント」と期待する投手陣が17安打8失点と炎上。打線も9安打を放ったものの、5点を返すにとどまった。WBC日本代表が大会開幕前に、調整試合とはいえ連敗を喫するのは初めて。小久保監督は開幕直前の現段階でも結果にこだわらないことを強調し、キューバとの初戦までに「実戦勘、試合勘を高めること」を繰り返す。そう、何より大事なのは実戦勘、試合勘なのだ。
であるならば集合を遅らせての開幕までの5試合は、果たして適当であったのか。
1次ラウンド突破へ、重要なカギを握るキューバ戦まで残り3試合。トッププロたちの調整力、そして指揮官の見極めと決断に期待したい。
文=坂本匠 写真=小山真司