
明徳義塾戦へ球場入りした清宮幸太郎(左から2人目)
2年前の夏、
阪神梅田駅は早朝から熱気に包まれていた。尼崎駅に停車し、甲子園駅までを約12分でつなぐ、6時発の直通特急。発車10分前には乗車率100パーセントをはるかに超え、出発のベルが鳴るころには、乗車制限がかかっていた。ホームに人があふれ、乗り切れないのだ。臨時電車が出るほどのフィーバーだった。
ファンのターゲットは早実・清宮幸太郎。車内でも人気選手の話題で、盛り上がっているファンがたくさんいた。当時、「怪物1年生」と言われたスラッガーが今春、あの夏以来、主将として甲子園へ戻ってきた。
1年夏、早実の試合は1回戦から準決勝まで、5試合すべて偶然にも第1試合(準決勝以外は8時試合開始)に組まれた。大会運営上は非常に好都合であったはずだ。仮に第2試合以降だと、前のゲームを目的とする来場者と重複してしまい、さらに混雑する恐れがある。すなわち、第1試合で来場させたほうがスムーズ、というわけだ。
明徳義塾との1回戦は大会5日目の第2試合(3月24日)。3日目はWBC準決勝(対アメリカ)、4日目には同決勝(日本は敗退したため、影響があったかどうかは不明)があったため、客足は鈍かった。世界一をかけた真剣勝負が終わり、野球ファンの視線は甲子園、そして清宮の初戦へと向けられる、絶好のタイミングだと思った。
第2試合は11時30分開始予定。熱心なファンは必ず、第1試合(9時開始)を目指し来場すると確信していたが……。6時発の直通特急を目指して阪神梅田駅へ――。しかし、予想に反して、ホームは通常と変わらなかった。出発5分前に乗車しても、楽々と座ることができたほどだ。車内も静まり返っていた。
さらに、2年前の夏は甲子園駅から球場まで約300メートルの長蛇の列……。今年は、これも通常と同じ客足だった。6時15分の段階で、当日券(中央特別自由席)を求める列は約15メートル。開門の前倒しもなく予定通り、8時だった。なお、清宮の球場入り(明徳義塾高も同様)は2年前の夏にならい、安全面を確保するため、観衆の目に触れない三塁ビジター駐車場から。大会本部は万全を期していた。
朝の出足で判断してしまうのは早いかもしれないが、やはり、高校野球の本番は�牴騰瓩覆里�。試合中の1プレーに対するリアクションも、センバツと夏では�倏�さ�瓩�異なる。
開門約2時間前の光景はやや、拍子抜けであった。
文=岡本朋祐 写真=BBM