
開幕戦は広島にサヨナラ負けしたが最終的には日本一となった阪神
2017年の開幕カードである広島─阪神。前年優勝の広島の本拠地マツダ広島に、4位の阪神が乗り込む形だが、かつて、まったく同じ状況で迎えたシーズンがある。
1985年、そう猛虎フィーバーに日本中が沸きに沸いた年だ。結果的に阪神が2リーグ制では唯一の日本一に輝いたシーズンでもあるが、開幕前の下馬評は決して高くなかった。長い低迷期にあり、新監督となった
吉田義男監督も「まずは土台づくり」ばかりを強調したこともある。熱狂的虎ファンでさえ、〝優勝〟の二文字は、なかなか口にできない雰囲気があった。
開幕戦もまた悲惨だった……。
雨で1日流れ、開幕は4月13日、舞台は広島市民球場だ。中盤までは若きエース・
池田親興の好投と
真弓明信の2ランなどで阪神ペースも、終盤にエラーもあって追いつかれ、さらに延長10回表、勝ち越しのチャンスで、二走の
北村照文がなんと広島の二塁・
木下富雄の〝隠し球〟でアウトに……。その裏、抑えの切り札・
山本和行を投入も代打・福島久晃にタイムリーを打たれ、痛い、痛いサヨナラ負けとなった。
ただ、これが〝眠れる虎〟を目覚めさせた。翌日、8対7の辛勝ながら初白星を挙げると、16日から甲子園に戻っての
巨人3連戦では、打ちまくっての3連勝。17日には、あの〝バックスクリーン3連発〟もあった。
ただ、そこから一気に優勝に一直線というわけではなく、9月上旬まで広島、巨人との3強レースが続いたが、そのあたりの苦闘を覚えている虎ファンは少ない。「ずっと、お祭り騒ぎだったね」と振り返る人がいかに多いか。
さて、今年はどうなるのか……。
写真=BBM