
5年ぶり2度目のセンバツ優勝を決めた大阪桐蔭。今年の夏だけでなく、2年生が最上級生となる来年も頂点を狙える
〝フライング〟と分かりつつも、聞きたいことがあった。
大阪桐蔭、5年ぶり2度目の優勝。大会前から話題となっていたのが「最強世代」と呼ばれていた有望な2年生たちだった。
4月1日、履正社との決勝も4人が先発オーダーに名を連ねた。飛騨高山ボーイズ時代から最速146キロを計測し、今大会は三刀流(遊撃手、中堅手、投手)として活躍していた
根尾昂は、救援準備に専念するため、ブルペン待機。
大阪桐蔭・西谷浩一監督は言う。
「2年生に責任を背負わせなくていい」
今大会打率.571(21打数12安打8打点)と大暴れした
山田健太は、指揮官の言葉を受けて、こう話す。
「3年生は優しいので、自分のプレーをすれば良かった。一体感のある学年、見習っていきたいです」
履正社との決勝は2年生・
藤原恭大の2本のソロアーチと、3年生・坂之下晴人のソロ本塁打で3点リード。しかし、粘る履正社も8回裏、長短4安打で追いつく。
しかし、大阪桐蔭は慌てない。ここで底力を発揮したのが3年生だった。先頭の坂之下が初球を叩いて右前打で出塁すると、一死二塁から西島一波が決勝2ラン。西島は力投を続けていた3年生エース・
徳山壮磨の代打だった。「徳山を負け投手にしたくないという気持ちがあった」。最上級生の絆が一発をもたらした。その後も4連打で3点を追加して、試合を決定づけた(8対3)。
9回、口火を切った坂之下は胸を張って言う。
「2年生が騒がれていたが、最後は3年生が決めて、3年生のチームなのでうれしいです」
最上級生の意地に引っ張られ、9回からリリーフした2年生・根尾が胴上げ投手に輝いた。
気が早いと分かりつつも、山田に聞いた。4連覇を狙うのか? と。
「春夏連覇して、自分たちの代でも、記念大会で優勝するために(大阪桐蔭へ)来たので、高い目標を持って練習したい」
2018年、春のセンバツは90回、夏の選手権は100回の記念大会を迎える。過去には「3季連続優勝」さえない偉業だが、大阪桐蔭ならば達成してもおかしくない。それだけの選手層と、気持ちの強さがある。
文=岡本朋祐 写真=BBM