
黒田は「いきなり後ろから殴られたみたいだった」と恐怖の瞬間を振り返った
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は4月11日だ。
シーズン開幕早々に捕手受難のニュースが次々飛び込んだ。4月4日、
楽天-
ソフトバンク戦(koboパーク宮城)で、ソフトバンクの
デスパイネのバットが楽天の捕手・
嶋基宏の頭部を直撃。首を固定したまま担架で運ばれ、そのまま負傷退場となる騒ぎがあり、同日、メットライフで
オリックスの
若月健矢も
西武の
メヒアのバットが同様に頭部に激突し、途中交代となった。
このような事故はフォロースイングが大きい一発狙いの外国人バッターが打席に入った際に多い。ただ、バッターだけの問題ではなく、ある意味、彼らへの“必殺パターン”が落ちる球種のフォーク系であることから、ワンバンドを避ける、あるいはワンバウンドを止めるため、どうしても捕手の体が前方に行きがちなのも原因となっている。
いまから20年以上前、1984年4月11日には、同じくバットがキャッチャーの頭部に当たり、病院送りとなる事故があった。
しかし、このときは状況がまったく違う。
日本ハム─西武戦(後楽園)の7回裏、日本ハム・
大宮龍男が三ゴロを打った際、バットが真っ二つに折れ、その片方が西武の捕手・
黒田正宏の左側頭部に当たったのだ。そのまま病院に運ばれたが、幸い骨に異常はなく、4針を縫っただけで退院となっている。
当時、バットの材質面の問題や軽量化のため乾燥させることが流行ったこともあり、頻繁に折れ、安全性を問題視する声が上がっていた。81年から禁止されていたが、反発力の高さで選手に人気があった圧縮バットを「白木より折れにくいから」と復活を希望する声もあったが、これは却下されている。
ただ、バット以上の問題は、黒田がヘルメットをかぶっていなかったことだろう。当時、捕手用のヘルメットを使用していたのは、
中日・
中尾孝義らごく一部。ほかは普通の帽子にマスクをかぶっただけだった。ああ、危ない……。
写真=BBM