
6回まで3安打無失点の好投も7回に被弾し、初勝利はならなかった
力感のない伸びやかなフォームから140㌔後半の直球に、鋭くタテ変化するスライダー、チェンジアップ、カーブも交え、テンポ良く投じる。時折り、自ら投球プレートを外し、間合いを作るなど、ルーキーらしからぬ落ち着いたマウンドさばきだった。
初登板を楽しんでいるかのようだった。「緊張はしませんでした」と、マウンド上での表情は常に柔らかく、戦況を見つめるベンチでは5回に二死満塁の絶好の場面で、無得点に終わるも、手をたたいて悔しがり、白い歯もこぼれた。
「自分のペースをつかめて、6回まで自分のイメージに近い投球ができていました」
初回こそ二死一、二塁のピンチを招くも、
井上晴哉を三ゴロに仕留め、プロ初登板、最初のイニングを無失点で終えると、以降は凡打の山。6回まで三塁を踏ませぬ好投で、
ロッテ打線を3安打無失点に。ただ、打線の援護がなく、試合は両軍無得点で進む。ようやく得点を奪ったのが6回裏のT-岡田のソロ本塁打だった。が、これで力みが生じた。
「先制してもらって、1点を守らなければという思いが強くなってしまった」
先頭、
福浦和也に四球を与えると、続く井上に二塁打を浴び、
細谷圭に138㌔のストレートを左翼スタンドに運ばれた。痛恨の被弾。逆転を許し、降板した。
6回0/3を投げて5安打3失点。これに、ルーキーの好投に
福良淳一監督も納得の表情。山岡がベンチに引き揚げると、指揮官はすぐに右腕のもとに向かい「良く投げた」と称賛を送った。
「もちろん、また投げさせます」(福良監督)
次週4月18日からの1週間の日程が4試合のため「(先発ローテーションを)1回は飛ばすと思います」(福良監督)と、次回は4月27日の
西武戦(京セラドーム)の登板が濃厚。好投するも、一発に泣いた右腕が、次こそ『プロ初勝利』を目指す。
文=鶴田成秀 写真=太田裕史