
五番・一塁の座を争う原口(左)と中谷(右)。同じような成績で競い合っていうだけに金本監督も、いい意味で頭が痛いところだ
さあ、どっちだろう、もうここまできたら好みかもしれない。
阪神の五番を任せるには、
中谷将大がいいのか、
原口文仁なのか――。
金本知憲監督は「長打の中谷、勝負強さの原口」という。さて、どっちも捨てがたい、と考えていた矢先、5月18日の
中日戦(甲子園)で四番の
福留孝介が休養のため、原口が四番に入り、中谷が五番を務めた。
5月18日の時点でともに31試合に出場している。この試合、初回に原口が二死一塁から右前打を放ち、チャンスを広げると、中谷が先制の適時二塁打を放った。まさに近未来のクリーンアップの形が見られた。3回には原口が三塁ベースにあたるラッキーな二塁打を放ち、追加点のおぜん立てをしたが、中谷は良い当たりの三塁ゴロに倒れてしまった。この試合1対2で惜敗も、福留を休養させても問題ないと金本監督が考えられるところまで2人とも成長してきた。
ちなみに数字(5月18日現在)で比べると、本塁打は中谷がチームトップタイの5本で原口が3本。安打数は中谷が23本、原口が24本。打点は中谷が11に原口が13。ここから少し差がでるのだが、三振は中谷が23個で原口が16個。四球は中谷がわずか4つなのに原口が14を記録している。打率は中谷が・288、原口が.258と中谷が有利だ。
数字から見ると原口のほうが、勝負強さを発揮していることも分かる。本当なら5月18日の試合のように2人とも使いたいところだが、現時点で一塁のポジションは2人で奪い合う形だ。この右の大砲候補2人が切磋琢磨、火花バチバチであれば、チームの全体に厚みが増していく。高卒の捕手として将来を期待されて入団した2人。打撃を生かすために野手に転向するところもまったく同じ境遇。だからこそ、ファンはどちらがいいのか迷うのだろう。「長打の中谷」「勝負強さの原口」、あなたはどっち推しだろうか!? そして本日の5月19日の
ヤクルト戦(神宮)ではどちらが「五番・一塁」を務めるだろうか。
文=椎屋博幸 写真=松村真行、石井愛子